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クローン技術規制法 クローンぎじゅつきせいほう

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クローン技術規制法
クローンぎじゅつきせいほう

正式名称「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」。平成 12年法律 146号。ヒト胚分割胚,ヒト胚核移植胚,ヒトクローン胚,ヒト集合胚,ヒト動物交雑胚,ヒト性融合胚,ヒト性集合胚,動物性融合胚または動物性集合胚 (以上を「特定胚」と定義) など胚の性質ごとに取り扱いを細かく定めた。

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デジタル大辞泉の解説

クローンぎじゅつ‐きせいほう〔‐キセイハフ〕【クローン技術規制法】

クローン人間づくりに関わる研究を規制する法律。正式名称は「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」。平成13年(2001)施行。ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚、人クローン胚、ヒト集合胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、動物性融合胚、動物性集合胚の人間または動物の胎内への移植を制限する。再生医療への応用を進めるため、平成25年(2013)、日本政府の生命倫理専門調査会が集合胚の作製と子宮への移植を容認した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クローン技術規制法
くろーんぎじゅつきせいほう

日本で2000年(平成12)12月に公布、2001年6月施行された、クローン人間づくりなど(人クローン胚(はい)、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚またはヒト性集合胚を、ヒトまたは動物の胎内に移植すること)を禁止し関連の発生操作研究を規制する法律。正式名称は「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(平成12年法律第146号)。島次郎]

沿革

1997年2月、イギリスの研究所が、体細胞核を未受精卵に移植する方法でヒツジのクローン(ほかのヒツジと同一の遺伝子構造をもつ個体)の産生に成功したと公表した。このニュースは、特定の人、たとえばヒトラーの複製人間もつくれるようになるのではないかと大きな危機感をもって迎えられ、欧米主要国はこぞってそれを禁止する動きに出た。日本でも同年9月、内閣総理大臣が議長を務める科学技術会議(現・内閣府総合科学技術会議)に国レベルで初めて生命倫理委員会が設けられ、翌1998年1月から2年近くの議論を経て、1999年12月に立法すべき事項を答申した。これに基づき科学技術庁(現・文部科学省)が2000年4月に法案を提出、同年秋の国会で審議され11月に可決、成立した。島次郎]

内容と問題点

この法律の最大の特徴は、ヒトのクローン個体、ヒトと動物の交雑個体(ハイブリッド)、ヒトと動物の混ざったキメラ個体の産生に限ってとはいえ、日本で初めて、国が特定の科学研究を刑事罰(10年以下の懲役・1000万円以下の罰金)付きで禁止するという点にある。深いレベルで生命を操作する域に達した生命科学に対する不安の高まりを抑え、研究開発の適切な推進のための土台を設けることは、現代社会が直面する重要課題であり、その点でこの法律の成立を評価することはできる。しかしクローン技術規制法は、個体産生禁止を取り締まる方策として、その基になる胚をクローン・ハイブリッド・キメラ技術によって作成する9種の特定胚(ヒト胚分割胚、ヒト胚核移植胚、人クローン胚、ヒト集合胚、ヒト動物交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、動物性融合胚、動物性集合胚)の研究について、文部科学大臣への届出制にし、原則容認する規定にした。ヒトの発生操作をここまで広範に法律で認めた国はほかにない。これは大きな矛盾である。当然そこに向けられる批判に対し文部科学省は、法律に基づく指針でこれを規制するとした。事実、法施行後2001年12月に告示された「特定胚の取扱いに関する指針」は、法律が届出対象とした研究のうち、動物の胚にヒトの細胞を混ぜて発生させる研究しか認めない内容になった。だがこれは、法律が認めることを行政が認めない越権行為だと批判されている。その後2004年7月に、再生医療の応用への期待から、ヒトのクローン胚作成研究も認めるべきだと総合科学技術会議が勧告し、指針が改訂されることになった(後述)。これでは人の生命を操作する研究の何をどこまで認めるか認めないかを、立法者に関与させずに、つまり民主的な社会の合意形成プロセスを経ずに、行政機関が随意に決めることになってしまう。この点でクローン技術規制法は、日本の科学研究政策上非常に悪い先例となるおそれがある。島次郎]

人クローン胚研究解禁と将来の課題

クローン技術規制法は、施行後3年をめどに見直しを行うとされていた。その年、2004年に、韓国で人クローン胚からのES細胞(胚性幹細胞)作成成功が発表された。これにより、日本でも人クローン胚研究を解禁すべきだとの総合科学技術会議の答申が促された。ところが同答申を受けて文部科学省が人クローン胚研究の実施条件を策定中に、この韓国の人クローン胚ES細胞作成のデータが捏造(ねつぞう)されたものだったことが明らかになり、さらに研究に用いられた卵子の入手方法の倫理的問題も追及される事態となった。この結果、日本での実施条件の案も見直しを余儀なくされ、人クローン胚研究解禁は大幅に遅れることになった(その後改訂指針は2009年5月20日に告示)。また、2007年11月、クローン技術を用いずに、皮膚などの細胞からES細胞と同等の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成することに日本の研究者が成功し、世界の再生医療研究の流れに大きな影響を与えた。そのなかで人クローン胚研究への期待は以前より低くなり、クローン技術規制法の存在意義も低下してしまった。目先の動きに追随した視野の狭い立法ゆえの運命といわざるをえない。
 同法が対象にしなかった、ES細胞や生殖補助技術のための胚研究も含め、より包括的で合理的な法体系を構想し直す必要がある。とりわけ重要なのは、研究に不可欠な精子、卵子、胚の授受に関するルールを確立することである。これらは現状では、法的拘束力のない指針に規定されているだけである。研究の適正な実施を保障するために、卵子や胚の提供の際の本人同意や売買禁止を、臓器提供と同じように法律に規定し、違反には罰則を科すべきだろう。島次郎]
『川井健他編『生命倫理法案――生殖医療・親子関係・クローンをめぐって』(2005・商事法務) ▽李成柱著、裴淵弘訳『国家を騙した科学者――「ES細胞」論文捏造事件の真相』(2006・牧野出版) ▽島次郎著『先端医療のルール――人体利用はどこまで許されるのか』(講談社現代新書)』

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