クール(Jacques Cœur)(読み)くーる(英語表記)Jacques Cœur

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クール(Jacques Cœur)
くーる
Jacques Cœur
(1395―1456)

フランス中世の大商人。ブールジュに生まれる。毛皮商を父にもち、シャルル7世の時代、対イギリス戦の戦費を調達し、国王と経済、政治上の広範囲にわたって結託し、勢力を拡張した。1439年国王会計方に、さらに数年後には国王評議会のメンバーとなり、貴族となった。東方貿易を通して富の蓄積を進め、フランスの主要都市に彼の代理人を置き、銀行、為替(かわせ)、鉱山羊毛貴金属といったあらゆる企業を営み、「雄々しいクール(心臓を意味する)に不可能なことは何もない」といわれた。アニェス・ソレル(シャルル7世の愛妾(あいしょう))毒殺の容疑で逮捕され、莫大(ばくだい)な罰金と全財産の没収を科せられた。彼の名誉は、死後、ルイ11世によって回復された。

[志垣嘉夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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