クールシェア(読み)くーるしぇあ

デジタル大辞泉 「クールシェア」の意味・読み・例文・類語

クール‐シェア

《〈和〉cool+share(共有)》環境省が推進するスーパークールビズの取り組みの一。真夏昼間に各家庭で冷房を使用する代わりに、図書館公民館商業施設など冷房設備のある共有スペースの利用を呼びかけるもの。→ウオームシェア

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クールシェア」の意味・わかりやすい解説

クールシェア
くーるしぇあ

夏の節電対策の一つ。一人で1台のエアコンを使用するのではなく、家庭や町の中の涼しい場所になるべく複数の人で集まって過ごすように心がけることで、節電につなげようというプロジェクトである。資源エネルギー庁推計によれば、全国の世帯で、夏の14時ごろの消費電力の約58%がエアコンによるものであることから、環境省が2012年(平成24)に夏の省エネルギー施策として取り上げた。これがきっかけとなり、関東以南の自治体を中心に広く行われるようになった。全国の都道府県市町村では、地域ごとに、美術館や図書館といった公共施設をはじめ、クールシェアに協力する商業施設などを、クールシェアスポットに指定している。ロゴマークによる告知がなされているほか、涼しい場所が一目でわかるシェアマップなど、インターネット上でも場所の確認や検索が可能である。2016年7月時点で、30都府県で250以上の市区町村が参加し、クールシェアスポットは1万2000か所を超えている。

 クールシェアは2011年に起きた東日本大震災直後多摩美術大学教授の堀内正弘(1954― 、クールシェア事務局代表)が、デザイン学科のゼミで「今の状況に対して、デザイナーは何ができるか」を問いかけたことから生まれたアイデアである。当初は同大学付近の一部の地域に限って実施されたが、翌2012年にその試みを環境省が取り入れた。こうした一連のクールシェアプロジェクトは、2012年にグッドデザイン賞を受賞し、2013年には低炭素杯2013(一般社団法人地球温暖化防止全国ネット主催)の最優秀ソーシャルイノベーション賞を受賞した。

[編集部 2016年7月19日]

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知恵蔵mini 「クールシェア」の解説

クールシェア

涼しい場所を家族や地域の人々でシェア(共有)することにより、エアコンの使用量を減らそうという省エネ対策。家族で一つの部屋に集まって過ごしたり、図書館や商業施設、公園の木陰や水辺などで涼んだりすることで、夏を楽しく快適に過ごしながら節電や地球温暖化防止につなげる取り組みを指す。2011年の東日本大震災直後、震災の影響による電力不足の懸念を受け、家庭での無駄なエアコン使用を減らすアイデアとして多摩美術大学(東京都)のゼミで考案された。12年度からは環境省がスーパークールビズの一環として実施を呼び掛けており、全国各地の自治体や企業にも取り組みが広がっている。20年の東京オリンピック・パラリンピックにおける猛暑対策として導入することも検討されている。

(2018-8-7)

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