ぐらす

精選版 日本国語大辞典 「ぐらす」の意味・読み・例文・類語

ぐら・す

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
  2. はぐらかす。ごまかす。
    1. [初出の実例]「赤紙で器量をぐらす西瓜見世」(出典:雑俳・後の花(1738))
  3. 告げる。暴露する。ばらす。
    1. [初出の実例]「お娘(むす)は丁稚めがしめておる事を、聟の山家屋へぐらすは」(出典:浄瑠璃・染模様妹背門松(1767)上)
  4. 種を明かす。
    1. [初出の実例]「ぐらす、種を明す」(出典:南水漫遊拾遺(1820頃)四)
  5. 陰部を出す。
    1. [初出の実例]「前のものだすを、ぐらす」(出典:当世花詞粋仙人(1832))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ぐらす」の意味・わかりやすい解説

グラス(ガラス食器)
ぐらす
glass

ガラス食器のうち、主として飲み物を入れる器をいう。グラスの原形は家畜の角(つの)で、古代の西洋ではウシなどの角を用いて酒を飲んでいた。やがてこれを模したリュトンとよばれるものがつくられるようになるが、底がとがっていてテーブルなどに置けないため、これに脚や平らな底がつけられるようになった。さらに、酒の発達とともに用途に応じたさまざまなものがつくられるようになり、現在に至っている。用途によりアルコール飲料用と清涼飲料用に大別され、アルコール用はさらに、ストレートの酒類を入れるものと、カクテルを入れるものに分けられる。

 ストレートの酒類を入れるものには、ウイスキーグラスシャンパングラスブランデーグラスワイングラスリキュールグラスなどがある。ウイスキーグラスは、ウイスキーをストレートで飲むためのもので、タンブラーを小形にしたような形をしており、シャンパングラスは口径が広くて底が浅く、脚がついている。ブランデーグラスは脚が短くて口径が小さく、底が膨らんで広くなっているが、これは、ブランデーの香りを逃さないようにする一方、手で温めたときに香りが出やすくなるように考えられたもので、材質も薄手である。ワイングラスには、細くて容量の少ない白ワインやシェリー用グラス、赤やロゼ用のすこし丸みのあるグラス、ポートワイン用の上部がつぼまったグラスなどがある。白ワイン用グラスのほうが赤ワイン用に比べて容量が少ないのは、飲み方の相違からで、白ワインは冷やして飲むため、すぐまた注げるようにくふうされたものである。これに対し、赤ワインは常温で飲むため、白ワイン用より容量が多くなっている。強い酒をストレートで飲むためのリキュールグラスも、容量は少ない。

 カクテルを入れるカクテルグラスには逆円錐形のものと丸形のものがあり、いずれも脚がついている。容量は普通60~70ミリリットルで、カクテルの種類により、脚のない細長いグラスが用いられることもある。このほか、ほっそりした形で脚つきのサワーグラス、小さい取っ手のついたパンチグラス(パンチボウルとセットになっていることが多い)などもある。

 清涼飲料用としては、タンブラーやゴブレットなどがあり、普通平底のコップ形のものをタンブラーといって(シリンダー形ともいう)、容量が5、6、8、10、12、20オンス(1オンス=約28.41ミリリットル)のものがある。ゴブレットというのは、タンブラーに脚をつけたような形のグラスの総称で、容量は240ミリリットルくらいである。そのほか用途により、各種のパフェやサンデーなどを盛るためのパフェグラス、サンデーグラス、ビールのジョッキ、冷茶用グラス、アイスティー用グラス、飲み物ではないがオイスターカクテル用のグラスなども含まれる。

河野友美・大滝 緑]

材質と選び方・手入れ

グラスには各種のガラスが使用されているが、ガラスの質によって中に入れるものの味が影響されることがある。とくにワインやウイスキーなどは、液の色がきれいに見えるかどうかで味わいに大きな影響が出るため、セミクリスタルガラスなどの光の屈折率が高いものが多く使用される。着色ガラスの場合も、中に入れるものとあったグラスを選ばないと、飲み物が汚い色に見えるので注意を要する。一方、家庭で日常用いられるグラス類には、強化ガラスなどを使ったじょうぶなものがよい。またグラスは、上下からの圧力には強いが横からの衝撃には弱いので、収納するときなどグラスどうしが当たらないよう、すこし間をあけて並べるとよい。

 洗うときには傷がつかないようにスポンジで、微温湯中性洗剤を加えてよく洗い、ほぼ乾いたころにふきんで磨くようにしてふくと、きれいになる。なお耐熱性の低いガラスを使用したものは、熱湯で洗うと破損することがある。また、クレンザーや金属たわしなどで洗うとグラスに傷がつくので、使用しないほうがよい。

[河野友美・大滝 緑]



グラス(Günter Grass)
ぐらす
Günter Grass
(1927―2015)

ドイツの小説家。ダンツィヒ(現、ポーランドのグダニスク)に食料品店主の子として生まれる。父はドイツ人で、母は西スラブ系少数民族のカシュバイ人。第二次世界大戦下、17歳で戦車兵となり、負傷して入院、アメリカ軍捕虜となり、1946年に釈放される。のち、旧西ドイツでカリ鉱山の運搬係、石工見習、ジャズバンドマンなどの職につき、1948年から3年間はデュッセルドルフ美術学校で彫刻と版画を学ぶ。1955年、南ドイツ放送の叙情詩コンクールに入賞してから詩人、不条理演劇の作家として一部に認められるが、やがて長編処女作『ブリキの太鼓』(1959)を発表し、戦後最大の物語作家として世界の注目を浴びた。続く中編『猫と鼠(ねずみ)』(1961)、長編『犬の年』(1963)でも前作同様ダンツィヒを舞台に、戦前から戦後にわたる時代の過誤と対決している。1961年から政治に参加し、終始社会民主党にくみして精力的に応援活動を続けてきた。その模様は戯曲『賤民(せんみん)の暴動稽古(けいこ)』(1966)、評論集『自明のことについて』(1968)、中編『蝸牛(かたつむり)の日記から』(1972)などに端的に示されている。1977年には、人類の歴史全般を視野に収める大作『ひらめ』を発表し、物語作家としても健在ぶりを示した。その後も創作活動は活発で、『頭脳の所産』(1980)、『女ねずみ』(1984)、『鈴蛙(すずがえる)の呼び声』(1992)、『はてしなき荒野』(1995)、評論集『抵抗を学ぶ』(1984)、『ドイツ統一問題について』(1990)などがある。1981年核兵器の廃絶を訴える文学者声明に署名。1982年社会民主党に入党(1992年離党)。1990年10月のドイツ統一に際しては、西ドイツ政府の統一政策に反対した。1978年(昭和53)来日。1999年ノーベル文学賞受賞。

[宮原 朗]

『中野孝次訳『犬の年』上下(1969・集英社)』『高本研一訳『蝸牛の日記から』(1976・集英社)』『マルグル・フリッツェ編、高本研一・斎藤寛訳『ギュンター・グラスの40年――仕事場からの報告』(1996・法政大学出版局)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ぐらす」の意味・わかりやすい解説

グラス
Grass, Günter

[生]1927.10.16. ダンチヒ
[没]2015.4.13. リューベック
ドイツの小説家。ダンチヒ自由都市で育ち,第2次世界大戦末期の 1944年に 17歳でナチスの武装親衛隊 SSに入隊,1945年戦闘中に負傷して捕虜となった。戦後,ジュッセルドルフの美術学校で彫刻と絵画を学び,文学集団「47年グループ」に参加して詩や戯曲を発表した。1956年パリに移り,1960年以後は西ベルリンに定住。長編小説『ブリキの太鼓』Die Blechtrommel(1959)で「47年グループ」賞を受け,一躍世界的な名声を得た。この作品は,子供のまま成長の止まった主人公の視点から 20世紀前半の激動のダンチヒなどを描いたもの(→ダンチヒ問題)。のち,政治への参加を強め,ドイツ社会民主党のため精力的に活動した。2006年自伝『玉ねぎの皮をむきながら』の発表目前に,同書で述べた SS入隊の過去は事実であると告白,国内外に大きな波紋を投じた。おもな作品に,小説『猫と鼠』Katz und Maus(1961),『犬の年』Hundejahre(1963),『局部麻酔をかけられて』Örtlich betäubt(1969),『蝸牛の日記から』Aus dem Tagebuch einr Schnecke(1972),『ひらめ』Der Butt(1977),『テルクテの出会い』Das Treffen in Telgte(1979),『女ねずみ』Die Rättin(1986),『鈴蛙の呼び声』Unkenrufe(1992),『はてしなき荒野』Ein weites Feld(1995),『私の一世紀』Mein Jahrhundert(1999)などがある。1999年ノーベル文学賞を受賞。

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