日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グリーグ(Nordahl Grieg)
ぐりーぐ
Nordahl Grieg
(1902―1943)
ノルウェーの詩人。ベルゲン生まれ。大学時代から冒険を好んで世界を旅して歩き、詩集『喜望峰を回って』(1922)、小説『船はさらに進む』(1924)を発表。のちオックスフォード大学に学び、バイロン、シェリー、キーツらを研究した『夭折(ようせつ)した詩人たち』(1932)などを出す。ジャーナリスト、劇作家、探偵小説家などとしても活躍、1932年から当時のソ連に遊んで共産主義に共鳴、35年に帰国してからは左翼文壇のホープとなる。戯曲『われらの名誉とわれらの力』(1935)、パリ・コミューンを扱った『敗北』(1937)が代表作。第二次世界大戦でドイツ軍が侵入すると徹底的抗戦を唱え、イギリスに逃れてそれを継続、最後は自ら爆撃機に乗ってベルリンを襲い、撃墜されて戦死した。有名な作曲家グリーグの縁者。
[山室 静]