グリーン(Aleksandr Stepanovich Grin)(読み)ぐりーん(英語表記)Александр Степанович Грин/Aleksandr Stepanovich Grin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グリーン(Aleksandr Stepanovich Grin)
ぐりーん
Александр Степанович Грин/Aleksandr Stepanovich Grin
(1880―1932)

ロシアソ連の作家。本名はグリネフスキーГриневский/Grinevskiy。幼少のころから職を転々とし流浪の生活を送り、のち社会革命党に入党、三度の流刑を体験する。1906年『兵士パンテレーエフの手柄』で文壇に登場、ポー、ホフマンらの影響を濃く受けたロマンチックな冒険・幻想小説によって革命前にすでに文名を確立する。架空の国「グリンランド」を舞台に繰り広げられるエキゾチックでファンタスチックな作品は、ソビエト文学史に特異な位置を占め、ときには強い批判にさらされたこともあった。代表作『深紅の帆』(1923)、『輝く世界』(1923)、『荒野の心』(1924)、『波の上を駆ける女』(1928)は、いずれも愛と美、人間性の理想的な姿を深く追求している。ことに『深紅の帆』はオペラや映画にもなり広く知られている。

[安井侑子]

『原卓也訳『深紅の帆』(『少年少女世界の文学22』所収・1967・河出書房)』『安井侑子訳『波の上を駆ける女』(『文学のおくりもの7』1972・晶文社)』『沼野充義訳『輝く世界』(1972・月刊ペン社・妖精文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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