日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グリーン(Paul Eliot Green)
ぐりーん
Paul Eliot Green
(1894―1981)
アメリカの劇作家。ノース・カロライナ州立大学卒業。母校で哲学、劇作を教え、演劇団体「カロライナ・プレイメイカーズ」にも協力。民俗劇推進者コーク教授門下で、南部の黒人や貧しい白人を題材に、写実から幻想に至る多様な様式のなかに社会的関心と詩情を盛り込む作品を発表。混血の教育者の悲劇『エイブラハムの胸に』(1926。ピュリッツァー賞受賞)、没落豪農一家をめぐる南部の新旧両世代のドラマ『コネリー家』(1931)、反戦悲喜劇『ジョニー・ジョンソン』(1936)などのほか、『失われた移住者たち』(1937)をはじめとするトータル・シアター風の国民的大叙事劇「交響劇」の野外上演を夏ごとに主宰し、地域演劇発展に貢献した。
[森 康尚]