日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グレコ(Emilio Greco)
ぐれこ
Emilio Greco
(1913―1995)
イタリアの彫刻家。シチリアのカターニアに生まれる。初め石工の徒弟として古代彫刻の模刻などに従事するが、1933年シチリア地方美術展に出品して彫刻家としてデビュー。56年ベネチア・ビエンナーレで彫刻大賞を獲得するころから、現代イタリア彫刻の代表的作家として世界的に評価される。エトルリアのテラコッタ、ローマの肖像彫刻などに造形の源泉を求めるが、とくに裸婦像においてはきわめて近代的な線により溌剌(はつらつ)としたエロティシズムを表現。代表作にバチカンの『法王ヨハネス23世のための記念碑』など。ブロンズ作品は京都国立近代美術館をはじめ、日本にも多い。
[小川 煕]