日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレゴリウス(2世)」の意味・わかりやすい解説
グレゴリウス(2世)
ぐれごりうす
Gregorius Ⅱ
(669―731)
ローマ教皇、聖人。東方世界とのイコノクラスム(聖画像論争)が高まった時代に在位した(715~731)。ビザンティン皇帝レオ3世(在位717~741)の聖画像破壊の強硬な態度に反対し、聖画像使用の正当性を主張したが、その結果、東西世界の溝はいよいよ深まることになった。712年、教皇はブリタニアの宣教師ウィンフリードにボニファティウスの名を与え、722年さらに彼を司教に任命して、フランク王国の布教をゆだねた。このことは結果として、のちに教皇ザカリアス(在位741~752)がボニファティウスを介してフランク王国の小ピピンの即位を承認し、カロリング王朝を成立させるという世界史的事件をもたらすことになる。
[磯見辰典]
『鈴木宣明著『ローマ教皇史』(教育社歴史新書)』▽『H・テュヒレ他著、上智大学中世思想研究所編・訳『キリスト教史3』(1981・講談社)』