日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
グールド(Glenn Gould)
ぐーるど
Glenn Gould
(1932―1982)
カナダが生んだ最初の世界的なピアノ奏者。1964年以後は演奏会をいっさい拒否、もっぱら録音に専念した異色の演奏家である。トロント生まれ。トロント音楽院在学中の46年、トロント交響楽団と共演してカナダでデビュー、55年アメリカにデビューしてセンセーションをおこし、57年にはヨーロッパにデビューし国際的な名声を確立した。バッハの個性的な解釈は世界の楽界に強烈な衝撃を与えたが、衝撃が収まったあとでは、グールドの新解釈が音楽的な意味をもっていることが広く認められた。ルネサンス期から現代まで、さまざまなスタイルの鍵盤(けんばん)音楽作品をレパートリーにしていたが、バッハ演奏家としての仕事がもっとも傑出していた。
[岩井宏之]
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