日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ケアンズ(John Elliot Cairnes)
けあんず
John Elliot Cairnes
(1823―1875)
イギリスの経済学者。ダブリンのトリニティ・カレッジ卒業後、1856年同大学経済学教授、59年ゴールウェーのクイーンズ・カレッジの経済学・法律学教授、66年ロンドンのユニバーシティ・カレッジの経済学教授となる。リカード、J・S・ミル、シーニアらの影響を受けた、イギリス古典派経済学の解体期を代表する学者。経済学は演繹(えんえき)に基づく厳密な科学であるべきだとする経済学方法論に関する著作『経済学の性格と論理的方法』The Character and Logical Method of Political Economy(1857)をもつ。また、職種の異なる階層間では競争が存在しないとする「非競争集団」の理論を提唱した『経済学の若干の指導的原理の新展開』Some Leading Principles of Political Economy Newly Expounded(1874)も有名である。
[千賀重義]