ケイ(読み)けい(英語表記)Ellen Key

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ケイ(Ellen Key)
けい
Ellen Key
(1849―1926)

スウェーデンの思想家、教育家。20世紀初頭のスウェーデンは工業近代化の過渡期にあり、女性、児童からの労働搾取が激化していた。彼女は、これがかえって労働者全体の賃金低下を招き、家計を助けるためにいっそう女性、児童の労働に頼らざるをえなくなる悪循環をもたらしたと分析する。とくに、これが母性を冒し、したがって家庭教育不在と学校教育偏重の弊害をもたらしたと批判する。ケイはこのように女性、教育、労働などの諸問題の構造的な性格をとらえ、総合的、相即的な論究を行った。その論究の目的は、当時の社会全般にあったキリスト教教義と現実の生活との二元的分裂、およびそれに伴う退廃を克服するために一元的な思想基盤をつくることであった。この点で彼女にとくに影響を与えたものに、ダーウィン、スペンサーの進化論、ニーチェの精神的進化論、ゲーテの人本主義、ルソーの自然教育論がある。彼女はその思想基盤として「生の信仰」を提唱し、母性尊重、家庭教育の重視、児童の自由で自発的な活動の重視などを論じた。とくにその母性至上主義は以後の女性運動の思想的支柱の一つとなり、日本でも平塚らいてうらの女性運動家に影響を与えた。[池田久美子]
『エレン・ケイ著、小野寺信・百合子訳『恋愛と結婚』改訂版(1997・新評論) ▽エレン・ケイ著、小野寺信・百合子訳『児童の世紀』(冨山房百科文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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