ケラ(英語表記)mole cricket
Gryllotalpa africana

精選版 日本国語大辞典 「ケラ」の意味・読み・例文・類語

ケラ

〘名〙 (cella) 古代ギリシアローマの神殿、さらにオリエントやエーゲの神殿で、神像や神体を安置する内陣奥室のこと。セラ

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改訂新版 世界大百科事典 「ケラ」の意味・わかりやすい解説

ケラ (螻蛄)
mole cricket
Gryllotalpa africana

直翅目コオロギ上科ケラ科の昆虫。俗にオケラともいう。地表近い地中にトンネルを掘り,その中で生活する。前脚が土を掘るためにシャベル状に特化し,モグラの前脚を思わせる。雄は小さな前翅を振動させてジージーと低い音で鳴く。日本全国,アジア,アフリカ,オーストラリアなどに広く分布する。全体が茶褐色で,体長約30mm。頭は小さく,筒状で大きい前胸背板にすっぽりとはまっている。触角は短く,この点で他のコオロギ類と異なっている。前胸背板には金色の細毛が密生している。前翅は短く楕円形,後翅はより大きく,その先端は腹端をこえ,燕尾状になっている。前脚は鋭いつめを備えた開掘肢(かいくつし)であるが,中脚はふつうの歩行肢,そして後脚は短いながら跳躍肢となっている。腹部は円筒状。産卵管は退化している。おおむねトンネル生活をするが,夜間地上に出ることもあり,複眼単眼も備えている。雑食性で,植物の根やミミズなどを食べ,農作物の根も食べるので害虫とされる。5,6月に土中に卵をかためて産む。かえった幼虫は秋までに成虫となり,越冬直前になると越冬地を求めて飛び出す。このとき灯火に飛んでくることもある。アカオビトガリアナバチ(体長17mm前後,土中に営巣)などLarra属のハチ天敵で,このハチは特異的にケラだけを狩り,幼虫の餌とする。
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ケラ (啄木鳥)

アリスイ類を除いたキツツキ科の鳥の総称。日本産のキツツキ類の和名は,アカゲラ赤啄木鳥)とかアオゲラ青啄木鳥)とかのように,その種の特徴を表した語の後に,語尾としてケラがつけられている。また,キツツキ類に形態や習性の似ている鳥の和名にも用いられ,例えばケラインコは尾羽の羽軸がキツツキのようにかたいことから名付けられている。
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ケラ
cella[ラテン]

ギリシア・ローマ神殿において,周囲の列柱廊部分から壁によって区別された,神殿の本体を指す用語。しばしば,内陣,すなわち神像を安置する神殿の主室であるギリシア語のナオスnaosと同義に使われる。しかし厳密には,ナオスのほかに,プロナオスpronaos(玄関間,前室)およびオピストドモスopisthodomos(裏玄関間,後室)をも含む。ケラを囲う壁に窓はなく,光は出入口からのみ採られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケラ」の意味・わかりやすい解説

ケラ
Gryllotalpa orientalis; mole cricket

直翅目ケラ科。体長 30mm内外。全体が褐色の円筒形状で,頭部は小さい。触角はむち状で短く,複眼は小さい。前肢はモグラのそれに似た特異な形になっていて土を掘るのに適しており,脛節内側には鼓膜がある。前翅は短く,雌雄とも発音器がある。後翅は長いが細くたたまれる。腹端に2本の尾毛がある。土中にトンネルを掘ってすみ,幼虫,成虫ともに一年中みられる。成虫は「じーっ」と鳴き,俗にミミズが鳴くといわれる。日本全土,アジア東部に広く分布する。 (→直翅類 )

ケラ
cella

古代ローマ神殿の神像が安置される場所で,正方形または矩形で入口以外は壁に囲まれている。大神殿のケラは外部に開放されているが,小さいものは屋内に置かれる場合もある。ギリシア神殿のナオス (内陣) に相当する。

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百科事典マイペディア 「ケラ」の意味・わかりやすい解説

ケラ

直翅(ちょくし)目ケラ科の昆虫の1種。体長30mm内外,茶色。前脚の脛(けい)節が太く,内側が鋸歯(きょし)状になり土を掘るのに適した形に変わっている。日本,朝鮮,中国〜熱帯アジア,オーストラリア,アフリカに広く分布。幼虫または成虫で越冬。ほとんど一年中成虫が見られる。湿った土中にすみ,雑食性。ジーと単調な声で鳴き,〈ミミズが鳴く〉と誤解される。灯火にくる。

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世界大百科事典(旧版)内のケラの言及

【ミミズ(蚯蚓)】より

…ミミズが土壌を肥沃にし,縦横に穴を掘って移動するので通気性を高め,農作業上有益であることは古くから知られていた。また近代まで,土中にあって鳴くケラ(螻蛄)の雄の音をミミズが鳴くといい,声を美しくする妙薬として,泥を吐かせたミミズを,酒をもって生きたままのむこともあった。薬用としたのはカブラミミズという,頸部(けいぶ)に白環のあるものである。…

※「ケラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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