ゲンゲ(海水魚)(読み)げんげ(英語表記)eelpouts

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲンゲ(海水魚)」の意味・わかりやすい解説

ゲンゲ(海水魚)
げんげ / 玄華
eelpouts

硬骨魚綱スズキ目ゲンゲ科Zoarcidaeの海水魚の総称。この科は種類によってはガジともよばれ、タウエガジ科の種類と名前が入り混じっている。寒海性の北方種で、おもに本州中部地方以北に分布し、北日本やオホーツク海に多産する。日本から約66種が知られている。この種は、ナガガジのように沿岸の藻場(もば)にすむものから、ヘビゲンゲ類のように水深1000メートル以上の深海に生息するものまである。体の大きさは、深海にすむヤワラゲンゲでは全長10センチメートルぐらいにしかならないが、タナカゲンゲでは1メートルを超える。この類の多くの種類は卵を産むが、ナガガジは仔魚(しぎょ)を産む卵胎生魚である。日本からは、カンテンゲンゲ、ナガガジなど50種ほど知られている。体は細長く、円筒形または側扁(そくへん)形。尾端はとがる。背びれと臀(しり)びれは尾びれと連なる。腹びれはないか、あっても痕跡(こんせき)的で、鰓孔(さいこう)の下にある。体色は一般に暗褐色であるが、淡褐色や銀白色のもの、ときにはアカゲンゲのように鮮やかな赤色のものもある。体やひれに特徴的な斑紋(はんもん)をもつ種もある。多くは底引網で漁獲される。カンテンゲンゲ、タナカゲンゲ、アゴゲンゲなどは煮物みそ汁干物などにして利用するが、その他のものは店頭に並ぶことは少なく、おもに練り製品原料となる。近年、深海の生物資源開発に関心が向けられ、この類の有効な利用方法が研究されている。

[尼岡邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android