コミ語(読み)こみご(英語表記)Коми/Komi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コミ語」の意味・わかりやすい解説

コミ語
こみご
Коми/Komi

ウラル語族フィン・ウゴル語派に属する言語で、ウラル山脈の北西側にあるロシア連邦のコミ共和国で話されている。言語人口49万6000。コミ語と自称するが、ジリヤン語Zyryanともよばれていた。ウドムルト語とともにペルム語を形成する。コミ・ジリヤン、コミ・ペルミャク、ヤズバの3方言に分かれる。14世紀初めアブル文字という固有の文字で書かれた古代コミ語の宗教的文献がある。コミ語には、音声的に五母音[i,e,a,o,u]のほかに中舌母音ï[ɨ]とë[ə]がある。形態的に名詞は17格に変化し、所有語尾をもつ。動詞は人称と数で時制により変化する。たとえばnïv lïd′d′ë kniga-ës「少女が・読んでいる・本を・彼女の」となる。

小泉 保]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コミ語」の意味・わかりやすい解説

コミ語
コミご
Komi language

ロシアコミ共和国地域と,コミペルミャク地域で話されている言語。ズリェーン語とも呼ばれた。ウラル語族のペルム諸語の一つで,ウドムルト語と近い関係にある。北部(ズリェーン),西部(ペルミャク)および東部(ヤズバ)の 3方言に分かれ,北部と西部の方言はそれぞれ文字言語を有する。文献は 14世紀のものが残されている。話し手約 29万人。

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世界大百科事典(旧版)内のコミ語の言及

【コミ[共和国]】より

…石油・天然ガスは,1960年代からティマン・ペチョラ油田で大規模に採掘され,ウフタに精油所がある。 コミ人はウドムルト人などと同様フィン系の民族で,その言語コミ語(ジリャン語)もフィン・ウゴル系に属する。コミ共和国のコミ人はコミ・ジリャン人Komi‐zyryaneともよばれる。…

【ジリャン語】より

ウラル語族のフィン・ウゴル語派のフィン語系に属し,ボチャーク語(ウドムルト語)とともにペルムPerm語派を構成する。ジリャン語はロシアではコミ語Komiと呼ばれ,ロシア北西部のコミ共和国を中心にビチェグダ川の流域とメゼン峡谷に住む四十数万人が母語として用いている。コミ語をさらに分類すると,その中での主体はコミ・ジリャンKomi‐Zyryan語と呼ばれるものであるが,南方のコミ・ペルミャク自治管区ではコミ・ペルミャクKomi‐Permjak語が話されている。…

【ステファン[ペルミの]】より

…ステファンは1379年よりフィン・ウゴル語系民族のコミ人への宣教を行った。まずコミ語のアルファベットを考案し,教会文献をコミ語に翻訳した。宣教の成果により,ペルミに主教座が開かれ,83年初代主教に就任した。…

※「コミ語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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