コルビザール(読み)こるびざーる(英語表記)Jean Nicolas Corvisart des Marest

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルビザール」の意味・わかりやすい解説

コルビザール
こるびざーる
Jean Nicolas Corvisart des Marest
(1755―1821)

フランスの内科医。打診法の推進者。パリのオテル・ディユ病院で、外科医ドソーPierre Joseph Desault(1738―1795)の指導を受け、1788年にシャリテ病院に入り、内科を専攻した。数年後に内科主任となり、コレージュ・ド・フランスの教授に任ぜられた。患者の死後剖検を重要視し、1806年に、研究の成果『心臓と大血管の疾患とその傷害Essai sur les maladies et les lésions organiques du cœurを出版した。打診法の発見者、ウィーン医学派のアウエンブルッガーの優れた業績に魅せられ、その著『新しい発見』Inventum Novumをフランス語訳し、それに注釈を加えて1808年に完成させた。聴診器の発明者ラエネクをはじめ、多くの優秀な後進を育てたが、コルビザールの推進した打診法は聴診法と相まって、有力な診断法となり、ますます普及するようになった。1807年にナポレオン1世侍医に任ぜられ、皇帝の絶大な信頼を受け、1808年男爵、1816年には王立医学アカデミー名誉会員に推された。

古川 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コルビザール」の意味・わかりやすい解説

コルビザール
Corvisart des Marets, Jean Nicolas

[生]1755.2.15. エーヌ,ドリクール
[没]1821.9.18. パリ
フランスの医学者で近代心臓病学の創始者。ナポレオン1世の侍医をつとめた。胸部疾患の診断に L.アウエンブルガーの打診法が欠くべからざる手段であることを世に知らせ,それを改良し,普及させた。弟子に聴診器を発明した R.ラエネックがいる。慢性肥大性心筋炎はコルビザール病,心不全でみられる赤い頬,蒼白な唇,鋭い目つきなど特有な顔つきはコルビザール顔と彼の名をつけて呼ばれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android