コレット(Sidonie-Gabrielle Colette)(読み)これっと(英語表記)Sidonie-Gabrielle Colette

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コレット(Sidonie-Gabrielle Colette)
これっと
Sidonie-Gabrielle Colette
(1873―1954)

フランスの女流小説家。ブルゴーニュ地方の生まれ。1893年、作家ウィリーと結婚。夫との共著になる四連作『学校のクローディーヌ』(1901)、『去り行くクローディーヌ』(1902)などで文壇にデビュー。夫の名前で発表されたが、全部コレットの筆になるもので、彼女の自伝小説である。1906年離婚、パリのミュージック・ホールで踊りながら創作を続け、『さすらいの女』(1910)、『ミュージック・ホールの内幕』(1913)、『きずな』(1913)などが生まれた。12年ジャーナリストのアンリッド・ジュブネルと再婚して舞台を退き、第一次世界大戦中は報道記者として活躍した。作風が円熟してきたのは戦後で、この時期、奔放な想像力を駆使して男女の愛欲の機微を描く心理小説に移り、『踊り子ミツ』(1919)、『シェリ』(1920)、『青い麦』(1923)、『第二の女』(1929)、『牝猫(めすねこ)』(1933)、『言い合い』(1934)などの名作が書かれた。第二次大戦中にも2編の回想録や小説『ジジ』(1944)などがある。動植物への異常な愛情、野性的で清新な感性、とくに女性の官能の世界への深い沈潜などが特徴的。

新庄嘉章

『新庄嘉章他訳『コレット全集』全12巻(1971~78・二見書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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