大学事典 の解説
コレージュ・ド・フランス[仏]
1530年に,フランス・ルネサンスの擁護者として知られるフランソワ1世が,人文学者ギョーム・ビュデの提議を受けて設立した高等教育・研究機関。神学中心であった当時の大学に対して,人文主義をはじめとしてより開かれた学問を行う場として構想され,「あらゆることを教える」をモットーとする。今日57の講座が設けられ,その学問領域は理系,文系の幅広い領域にわたる。たとえば数学者が歴史学者の後継者となるように,講座は固定的ではなく,教授会によって最も望ましいとされる分野・人物が選ばれる。こうして,学術の発展に応じた形での組織運営がなされている。近年は,時代の変化に応じる新たな試みとして,毎年担当者が代わる「年次講座(フランス)」も導入されている。政体の変遷に応じてコレージュ・ロワイヤル(フランス),コレージュ・アンペリアル(フランス)と呼称は変化したが,1870年以降は現在の名で呼ばれている。講義は公開・無料で,試験や学位の授与は行われない。
著者: 白鳥義彦
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報