コンコセリス(読み)こんこせりす(英語表記)conchocelis

精選版 日本国語大辞典 「コンコセリス」の意味・読み・例文・類語

コンコセリス

〘名〙 (conchocelis) アサクサノリなどが夏をすごすためにとる形態海底貝殻などに付着して糸状になり、秋になると胞子ができて、それから葉体になる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンコセリス」の意味・わかりやすい解説

コンコセリス
こんこせりす
conchocelis

アマノリ属やウシケノリ属の果胞子が二枚貝の貝殻内に穿孔(せんこう)してつくる、微小なカビ状の糸状分岐体。成熟すると殻(かく)胞子をつくり、殻胞子は発芽してノリ体になる。かつては海中の貝殻片内に穿孔生活する微小藻中の特異な1属として取り扱われていたが、研究の結果、アマノリ類の果胞子をマテガイカキなどの二枚貝や鶏卵殻、フジツボ殻上で発芽させると、穿孔してコンコセリスになることがわかった。日本ではこの生活環を利用して、ノリ養殖での人工採苗技術が開発された。

[新崎盛敏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のコンコセリスの言及

【アマノリ(甘苔∥甘海苔)】より

…冬から春に卵細胞と精子をつくって有性生殖を行う。その結果できた果胞子は貝殻などにつくと発芽して穿孔し,糸状のいわゆるコンコセリスconchocelis体として夏を過ごす。【千原 光雄】。…

【果胞子】より

…この果胞子体が最終的に果胞子を生じるが,受精から果胞子形成までの過程はさまざまな型があり,紅藻植物を分類する場合の重要な特徴となる。 アマノリ属の果胞子は海底の貝殻に付着すると,その内部に穿入(せんにゆう)してコンコセリスconchocelisという糸状体を形成する。アサクサノリの養殖では,果胞子のこの性質を利用して,カキの貝殻などに穿入させて生じたコンコセリスを夏の間,陸上の施設で培養して増やす。…

【ノリ(海苔)】より

…受精卵は果胞子を形成し葉状体を離脱した後,海底の貝殻に付着する。付着した果胞子は発芽して貝殻の内層に侵入し,糸状体(コンコセリスconchocelis)になる。糸状体は夏季に成熟して胞子囊を形成し単胞子をつくる。…

※「コンコセリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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