コンゴウインコ(英語表記)macaw

翻訳|macaw

改訂新版 世界大百科事典 「コンゴウインコ」の意味・わかりやすい解説

コンゴウインコ
macaw

オウム目オウム科コンゴウインコAraおよびスミレコンゴウ属Anodorhynchusの鳥の総称,またはそのうちの1種を指す。コンゴウインコ類は,上くちばしが鋭く鉤(かぎ)形に曲がった非常に強大なくちばしと,全長の2/3近くを占める長いくさび形の尾をもった大型のインコである。眼の周囲から顔にかけては羽毛がなく,皮膚が裸出していて,羽色は赤色青色黄色緑色を主体とした鮮やかな色彩をしている。中南米,西インド諸島の熱帯降雨林に群れをつくってすみ,樹上で漿果(しようか)や堅果を食べる。世界に約15種が分布し,そのうちキューバ特産で全長46cm,全身が深紅色で,くびが黄色のミイロコンゴウAra tricolorは19世紀末に,このほかに西インド諸島では7種が絶滅したといわれるが,はっきりしたことは不明。

 コンゴウインコAra macao(英名scarlet macaw)は全長約90cm,全体が深紅色で,翼は黄色,青色,緑色,橙色黒色などが混じったはでな色彩をしている。上くちばしと顔の裸出部は白く,裸出部にはしわがよっている。雌雄同色。大きな川の流れている平地の熱帯降雨林に群れをつくってすむ。日中の暑いときには枝に止まって休み,毎朝採食のために遠くまで飛んでいき,夕方ねぐら場所に戻ってくる。大きな翼を力強くはばたき,尾を長くひきながら,日の出夕日の中で羽色を輝かせて森の上を飛ぶ姿はたいへんに美しい。採食時にはつがいで行動し,ヤシなどの堅果も大きなくちばしで割って食べる。繁殖期には,樹洞を巣穴にして1腹2~3個の卵を産む。大型で美しいため,動物園などでよく飼われているが,人の言葉をまねるのはへたで,単語を少し覚えるくらいである。

 コンゴウインコ類の代表種には,全長約77cm,上面が青色で下面が鮮黄色をしたルリコンゴウA.ararauna,全長約95cm,赤色と青色の羽色をした大型種のベニコンゴウA.chloroptera,全長約75cm,全体が緑色で,額,翼の一部,顔の裸出部が赤いミドリコンゴウA.militaris,全長約98cmの最大種で,全身が美しいコバルト・ブルーで,眼の周囲と下くちばしの元に小さな黄色の裸出部があるヒヤシンスコンゴウAnodorhynchus hyacinthinusなどがある。
インコ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンゴウインコ」の意味・わかりやすい解説

コンゴウインコ
こんごういんこ
macaw

鳥綱オウム目オウム科に属する鳥のうち、嘴(くちばし)が巨大で尾が著しく長い特徴をもつ19種の総称。中央・南アメリカ産の、オウム目中で特大形のインコ類である。また、種子食であるが、その巨大な嘴で堅い木の実を割ることで知られる。コンゴウインコ属Ana15種は顔部が嘴に続き広く裸出し、大形の7種は体長85~90センチメートル、小形の8種は30~60センチメートルである。大形種のうち、中央・南アメリカ産のコンゴウインコA. macao、ブラジル産のルリコンゴウA. araraunaメキシコから南アメリカ産のミドリコンゴウA. militaris、南アメリカ産のベニコンゴウA. chloropteraなどが著名で、熱帯林の高木や高いヤシなどに止まり、その洞に営巣し、雌雄は長くともに生活する。スミレコンゴウ属Anodorhynchus3種には、全長100センチメートルと本類中最大でブラジル産のスミレコンゴウA. hyacinthinusが含まれる。残る1種はブラジル産の希種アオコンゴウCyanopsitta spixiiである。

黒田長久


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コンゴウインコ」の意味・わかりやすい解説

コンゴウインコ
Ara macao; scarlet macaw

インコ目インコ科。全長 90cmの大型種で,尾が長い。頭上から胸腹部,背は赤色,腰は青色。雨覆は黄色で,風切は紫青色,尾は一部が紫青色で大部分は赤色。眼のまわりは大きく白色の皮膚が裸出している。は大きく,上嘴の上半分は象牙色,下半分は黒色。脚も黒い。メキシコからボリビアにかけて分布し,低地の熱帯雨林に生息する。大型で羽色が鮮やかなため,多数捕獲され,日本の動物園や公園でもよく飼育されている。近縁種にベニコンゴウインコ A. chloropterus,ルリコンゴウインコ A. ararauna などがあり,絶滅の危機に瀕しているものもある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android