コンスタン(フランスの政治家、作家)(読み)こんすたん(英語表記)Benjamin Constant

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

コンスタン(フランスの政治家、作家)
こんすたん
Benjamin Constant
(1767―1830)

フランスの政治家、作家。ローザンヌに生まれる。13歳のときからイギリス、ドイツなど各地の大学に学んだ。1785年パリに赴き、94年スタール夫人に出会う。2人は政治と文学への情熱を分かち合いながら、1808年まで波瀾(はらん)に富んだ関係を保った。ナポレオン政府の護民官に任ぜられたが、侵略政策に反対して亡命し、百日天下ではふたたび皇帝に協力した。王政復古時代は、個人の権利の尊厳を説き、自由主義政党の論客として活躍した。変節ともとれる行動を繰り返しながらも理想を追い求め、私生活では賭(か)け事と異性関係で問題が絶えず、皮肉屋にして真率、どこか不可解な人物であったといわれる。多数の政治論文のほか、『宗教論』、二度目の妻の思い出を描いた『セシル』(1951没後刊)、自伝的作品『赤い手帖(てちょう)』(1907)などがあるが、とくに恋愛心理を精密に分析した『アドルフ』(1816)は、フランス心理小説の代表作に数えられている。

工藤庸子

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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