日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンプレックス(地学)」の意味・わかりやすい解説
コンプレックス(地学)
こんぷれっくす
complex
地層や岩石の集合体を表わす地質用語。名称は「複合体、集合体」を意味する英語に由来する。地層、変成岩や火成岩などで、構造が複雑で細かく区分することが困難なものをひとまとめにした岩石の集合体。複合岩類とよばれることも多い。単に「コンプレックス」とするのではなく、その成因を表すことばを冠して、付加コンプレックス、変成コンプレックス、火山‐深成コンプレックスなどと称されることが多い。
付加コンプレックスは、海洋プレート上に堆積(たいせき)した地層が、海溝やトラフから陸側プレートの下に沈み込み、最終的に陸側のプレートに付け加わって形成された岩石の集合体である。変成コンプレックスは、形成される際の変成作用に伴って褶曲(しゅうきょく)作用も複雑であることから、一般的にこのようによばれることが多い。火山‐深成コンプレックス、あるいは火成コンプレックスは、マグマの活動が盛んであった地域で、花崗岩(かこうがん)などの深成岩や、岩脈、そして流紋岩などの火山岩類が複雑に分布する岩石の集合体をいう。
[村田明広]
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