ゴング(英語表記)gong

翻訳|gong

精選版 日本国語大辞典 「ゴング」の意味・読み・例文・類語

ゴング

〘名〙 (gong) 打楽器一つ。金属製の大きな凸面体の円盤を木の枠につるし、大太鼓ばちで打つ。管弦楽用のほかレスリングボクシング計時合図に用いるものもある。銅鑼(どら)
※倫敦消息(1901)〈夏目漱石〉一「そら鳴った。第一の銅羅だ、此から起きて支度をすると第二の『ゴング』が鳴る」

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デジタル大辞泉 「ゴング」の意味・読み・例文・類語

ゴング(gong)

銅鑼どら
鉦鼓しょうこ。銅鼓。金鼓。
ボクシングなどで、競技の開始や各ラウンドの開始・終了を知らせる鐘。

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改訂新版 世界大百科事典 「ゴング」の意味・わかりやすい解説

ゴング
gong

一般に銅鑼(どら)と呼ばれる金属製の丸盆ないし円盤状の体鳴楽器青銅で作られたものが多く,普通その中央部が打ち鳴らされる。ゴングの名称はマレー語に由来するといわれるが,この種の楽器は東南アジア一帯と中国およびその周辺で広く用いられている。日本の鉦鼓,鉦盤,伏鉦(ふせがね),当り鉦(あたりがね),双盤はすべてゴングの一種で,また金鼓(こんく)/(こんぐ)の別名をもつ鰐口(わにぐち)はゴングを最中(もなか)の皮のように二つ合わせた形状を呈している。実際にゴングに分類され得る体鳴楽器の形状は,浅い円盤状,深目の盆状,鉦鼓のごとく外側へ折り曲げられた縁をもつもの,中央に瘤状の突起をもつもの,さらに深く底の広い釜を伏せたような形(頂上に乳頭状の突起をもつ)などさまざまである。

 東南アジアのゴングは演奏形態から2種に大別できる。すなわち,木枠から垂直に吊り下げられて側面から打たれるタイプと,凸面を上にして伏鉦のごとく水平に置き,上から桴(ばち)で打つタイプである。前者は概して大型で(直径が1m以上に及ぶものもある),低く柔らかな持続性のある音色をもち,明確な音律をもたない場合が多い。後者は音色が硬質で,一定の音高に調律され,数個組み合わせて旋律を奏でることもできる。英語で総称的にゴング・チャイムgong chimeと呼んでいるのがこのタイプで,ジャワのボナンやクノン,バリのトロンポンやレヨン,フィリピンのクリンタン,タイのコン・ウォン,そして中国の雲鑼はこの種のゴングである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴング」の意味・わかりやすい解説

ゴング
gong

体鳴楽器の一種。円盤の縁の折れ曲ったもの。原則としてその中央部を打鳴らすもの。おもに金属製。東南アジア,東アジアに普及し,ヨーロッパにおいては「タムタム」と呼ばれる。起源は未詳であるが,中国の文献では西域起源とし,6世紀には「打沙羅」の記事が初見される。形状はさまざまで,円盤が平らなもの,ふくらんだもの,中央に突起のあるもの,さらに縁の折れ曲りの深いものと浅いもの,材質の厚いものと薄いものがある。また,紐でつるすものと,足があって平面上に置かれるものとがある。いくつかのゴングを組合せた組ゴングもあり,これをゴング・チャイムと呼ぶ。中国では,材質の薄い平らな「 (ら) 」,組ゴングの「雲鑼」が代表的。日本の「銅鑼 (どら) 」は中央部に盛上りがある。中央に突起があって材質の厚いものでは「鉦」の類が代表的なもので,日本ではベルに属する「鐘」の類とともに「かね」と総称される。ゴングの最も発達したのは東南アジアで,大小数種のゴングがあるほか,各種の組ゴングもあり,インドネシアのガムランに用いられる「ボナン」や,タイの「コーン・ウォン」などが有名。本来,ゴングという言葉も,インドネシア語のゴン,およびタイ語のコーンなどに由来する。そのほか木製,石製のゴングもある。

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百科事典マイペディア 「ゴング」の意味・わかりやすい解説

ゴング

金属製の円盤や壺の中央部を打奏する体鳴楽器の総称。東南アジアと中国およびその周辺で広く用いられる。名称の起源はジャワにあり,インドネシアではゴンともいう。日本では,肉厚の(かね)と肉薄の銅鑼を区別する。西洋のオーケストラで用いられる,音高の定まらない大型のゴングはタムタムtam-tamと呼ばれ,もとは中国から輸入されていた。
→関連項目クトックノンゴング・チャイム打楽器銅鑼ボナン

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世界大百科事典(旧版)内のゴングの言及

【音楽】より

…彼の流儀はセーニャ・グラーナの名で今日も伝承される。インド音楽仏教音楽
[東南アジア]
 この地域の音楽の特徴として第1に青銅のゴングの響き,とりわけ独特の音階に調律された大小のゴングを含む旋律打楽器を主体とした野外の合奏が挙げられる。インドネシアのジャワやバリのガムランをはじめ,フィリピン(ミンダナオ島)やマレーシア(北ボルネオ)のクリンタン,タイのピーパート合奏,カンボジアのピン・パート合奏,ミャンマーのサイン・ワイン合奏などはこのゴング・チャイムの音楽文化圏の代表的なものである。…

【フィリピン】より

…伝統芸能が根強く生きているのは周辺地域においてである。ルソン島北部の山地民族(俗称イゴロット族)はインドシナとのつながりを暗示する平(たいら)ゴング(銅鑼)を大きさの異なる6個ないしその倍数で組み合わせ,1人が一つずつ担当し,構え方や手の使い方を微妙に変えて,音色の多様性を利用した独特のアンサンブルをつくりあげている。このアンサンブル形態は,搗奏竹筒,割れ竹,パンパイプス,竹筒琴の演奏に共通する構成原理をもっている。…

※「ゴング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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