ゴールドスミス(Oliver Goldsmith)(読み)ごーるどすみす(英語表記)Oliver Goldsmith

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ゴールドスミス(Oliver Goldsmith)
ごーるどすみす
Oliver Goldsmith
(1730―1774)

イギリスの詩人、小説家、劇作家。11月10日、アイルランド牧師の子として生まれる。ダブリン大学を苦学して卒業。しばらく僧職につくための準備をしていたが、のちに医学を学ぶためエジンバラライデンの大学へ行くが業を終えず、大陸を転々として1756年ロンドンに無一文で戻ってくる。以後、三文文士として売文を業とするが、1760年から雑誌に寄稿した「中国人の手紙」という形式による随筆が人気を博し、これがのちに『世界の市民』(1762)と題して出版された。彼の名声はあがり、サミュエル・ジョンソン(ジョンソン博士)の文学クラブの一員になった。長詩『旅人』(1764)、小説『ウェークフィールドの牧師』(1766)、喜劇『お人好し』(1768)が次々と発表され、それぞれ好評で、彼の作家的地位を不動にした。しかしこの人気にもかかわらず、相変わらずの貧乏暮らしであった。

 彼はさらに甘美な感傷を示した詩『寒村行』(1770)や、喜劇『負けるが勝ち』(1773)で優れた才能を示したが、一方多くの伝記や『イギリス史』(1764)を書き、生活のための売文を行っている。1774年4月4日ロンドンで没。彼には間の抜けた面と天才的な鋭い面とが混在し、そこに人をひきつける魅力があった。

榎本 太]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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