サイボス(読み)さいぼす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイボス」の意味・わかりやすい解説

サイボス
さいぼす

世界最大級の国際金融会議。正式名称は「スイフト国際金融運営セミナー」で、英語名SWIFT International Banking Operations Seminarの頭文字をとってサイボスSibosとよばれる。国際的な金融通信網を運営するスイフト(SWIFT:Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication、国際銀行間通信協会)が毎年秋、世界の主要都市でサイボスを開催している。世界の大手銀行や証券会社の実務担当者のほか、グローバル企業やシステム会社の経営幹部、中央銀行幹部らが一堂に集まり、金融業務と決済、システム、技術とイノベーション革新)、リスク管理、規制コンプライアンス法令遵守)、金融犯罪、新興国ビジネスなど広範なテーマについて話し合う。金融機関やシステム会社が展示ブースを設けるほか、金融に関する講演会が開催される。第1回会議は1978年にベルギーブリュッセルで行われた。2012年(平成24)10月には日本初の会議が大阪市で開催された。アジアではこれまで、香港(ホンコン)(1991年と2009年)とシンガポール(2003年)で開催されている。

 毎回数千人の金融関係者が集まるため、サイボス開催のためには、会場近くに国際ハブ空港、数千人分の食事を一度に提供できる規模飲食施設、3000人以上の宿泊機能をもったホテルなどが必要である。このためコンベンション業界では「サイボス開催都市は、質の高い国際会議を開く能力があると国際的に認められたことになる」とされ、毎年、世界の主要都市が誘致競争を繰り広げている。大阪市の国際会議場「インテックス大阪」を会場とした「サイボス2012大阪」には世界から約6000人が参加し、大阪市や関西経済界は「飲食や観光などを含め経済効果は約100億円にのぼった」と推定している。しかし、この会議では、尖閣諸島(せんかくしょとう)の国有化問題をめぐり、それに反発する中国工商銀行など中国の金融機関6行が参加を取りやめた。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「サイボス」の解説

サイボス

金融業界における世界最大規模の国際会議。世界212カ国、1万以上の金融機関が加盟する国際団体「スイフト」(本部・ベルギー)が主催で、1978年以来、毎年秋に開催されている。日本初、非英語圏でも初の開催となる2012年の会議は大阪市住之江区のインテックス大阪で行われ、世界の金融機関など約200社から6000人の実務者が参加。金融界の規制のあり方や新興国市場でのビジネス展開の可能性などについて議論が交わされた。出展ブースでは商談も活発に行われた。大阪府・市、関西の財界は、経済効果が100億円以上といわれる同会議の開催を機に大阪市の認知度を高め、今後の国際会議誘致につなげたいとしているが、尖閣諸島を巡る日中関係の悪化により、ブース出展を予定していた中国の銀行6行すべてが参加を取りやめるというアクシデントもあった。

(2012-10-31)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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