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サンクトペテルブルク・サミット さんくとぺてるぶるくさみっとSt.Petersburg Summit of the Eight

知恵蔵の解説

サンクトペテルブルク・サミット

2006年7月15〜17日、サンクトペテルブルクで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)。ロシアでのサミット開催は初めてだが、他方、プーチン強権体制下での開催にロシア国内や欧米から疑問の声があげられたサミットも初めて。それだけに議長のプーチン大統領は、この会議で「責任ある大国」としてロシアの威信回復を目指した。とくに資源大国ロシアに有利な経済討議では、エネルギーを主テーマに設定。最近の原油高騰に対し、(1)需給関係・埋蔵量情報・規制法令の透明性確保、(2)投資環境の改善、(3)省エネの促進、(4)エネルギー源の多様化、(5)途上国のエネルギー貧困への包括的支援、などの行動計画をまとめた。他方、ロシアの国家管理的な石油産業政策への不信解消と、天然ガス・石油パイプラインの政治目的使用傾向の矯正を欧米参加国が要求。またロシアのWTO加盟問題は先送りになった。政治討議では、プーチン大統領は「西側・東側」という彼の常用語を会議中一切使わず、対欧米協調の姿勢を見せた。例えば、会議の直前に起こったイスラエルのレバノン攻撃の正当性に関し、米仏が対立したが、プーチン大統領は親イスラエルの米に譲歩。ヒズボラやハマスの武力行使を「不安定化の原因」としてその「即時停止」を求め、イスラエルの「自衛権」を認めた。他方で仏の反対意見を反映し「(レバノン・ガザ地区の)民間人の犠牲とインフラ破壊に懸念」を表明し、イスラエルの「最大限の自制」を求める声明を採択。04年サミットでのような対決を避け、プーチン議長は「妥協の達成に満足」を表明し結束の演出に腐心した。ただし、一致した停戦呼びかけによる戦闘激化の歯止めには不成功。また北朝鮮については、直前の国連安保理での合意を引き継ぐに留まった。このように、イランのウラン濃縮問題も含め、現実に進行中の喫緊の紛争について、最高決定者の会議であるはずのサミットは独自の解決策を打ち出せず、先進国クラブとしての指導的役割の低下を露呈した。なお05年のサミット時のようなテロ事件も懸念されたが、ロシア政府は会議の直前、チェチェン独立派指導者を殺害するなど強硬策をとった。また中印など5カ国との拡大会合では、ムンバイでの連続列車爆破事件についてインドと連帯する声明を採択した。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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