サンソビーノ(Jacopo Sansovino)(読み)さんそびーの(英語表記)Jacopo Sansovino

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

サンソビーノ(Jacopo Sansovino)
さんそびーの
Jacopo Sansovino
(1486―1570)

イタリアの彫刻家、建築家。アンドレア・サンソビーノの弟子となり、その通称も受け継ぐ。本名はヤコポ・タッティJacopo Tatti。フィレンツェ生まれ。アンドレアのもとで彫刻を学び、初めローマで古代彫刻の修復をしたが、フィレンツェに帰って、画家のアンドレア・デル・サルトと共同で工房を営んだ。1518年にふたたびローマに行き、いわゆる「出産の聖母」(サン・タゴスティーノ聖堂)などを制作する。1527年のローマの略奪の難を逃れてベネチアに移った彼は、まもなくサン・マルコ大聖堂の監督官に就任し、ティツィアーノやピエトロ・アレティーノと親交を結びながら終生同地にとどまる。ベネチアでは、サン・マルコ大聖堂の聖器室のブロンズ扉やドゥカーレ宮前のネプチューンとマルスの巨像をはじめ、多くの彫刻作品を手がけた。だが、それにもまして重要なのは建築家としての活動で、その代表作はドゥカーレ宮に向かい合うサン・マルコ図書館と、そのわきの鐘塔基部のロジェッタなどである。彼はベネチアに盛期ルネサンスの建築様式をもたらし、アンドレア・パッラディオにも多大の影響を与えた。その建築は、彫刻家的な造形感覚のなかで、ローマの荘重な盛期ルネサンス様式とベネチア風の装飾趣味がうまく溶け合って生まれた、独特の魅力をもっている。

[石鍋真澄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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