サントス(Juan Manuel Santos Calderón)(読み)さんとす(英語表記)Juan Manuel Santos Calderón

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

サントス(Juan Manuel Santos Calderón)
さんとす
Juan Manuel Santos Calderón
(1951― )

コロンビアの政治家。1960年代以降、半世紀以上に及ぶコロンビア政府と左翼ゲリラとの内戦終結に向けた交渉を主導した功績を評価され、2016年のノーベル平和賞を授与された。平和賞の賞金800万クローナ(約9500万円)を同国内戦犠牲者の支援のため寄付すると表明した。

 コロンビアの首都ボゴタ生まれ。大伯父が元大統領、従兄弟(いとこ)は副大統領を務めた名門政治家一族の出身である。コロンビア北部のカルタヘナ海軍兵学校を経てアメリカのカンザス大学経済ビジネス学部卒。イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスやアメリカのハーバード大学大学院を修了。国際コーヒー機関勤務やコロンビア国内の最有力紙エル・ティエンポの副編集長などを経て政界へ進出。1991年に通商大臣、2000年に財務大臣などを歴任、2006年から務めた国防大臣時には、左翼ゲリラ・コロンビア革命軍FARC:Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia)からの人質奪還作戦や掃討作戦を指揮した。2010年の大統領選で初当選し、2014年に再選された。大統領就任後すぐに断絶状態にあったベネズエラ政府との国交を回復。2012年からコロンビア革命軍との停戦交渉を開始し、2016年9月に和平合意に達した。ただこの和平合意案には、殺人テロ誘拐などを繰り返したコロンビア革命軍メンバーの政界復帰や元戦闘員の刑の減免などが盛り込まれていたため、2016年10月の国民投票で合意案は否認され、和平合意は宙に浮いた。

 しかし一連の和平に向けた功績を評価され、ノルウェーのノーベル賞委員会からノーベル平和賞を受けた。内戦終結に至っていない段階でのノーベル平和賞授与にはコロンビア内戦和平を後押しするねらいがあるとみられている。

[矢野 武 2017年3月21日]

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