サンドイッチ(読み)さんどいっち(英語表記)sandwich

翻訳|sandwich

精選版 日本国語大辞典 「サンドイッチ」の意味・読み・例文・類語

サンドイッチ

〘名〙 (sandwich) パンを薄く切ってバターを塗ったもの二枚の間に、肉や野菜類、卵、チーズなどをはさんだ食物。イギリスのサンドイッチ伯四世の創案と伝え、軽食や戸外の携帯食とされる。また比喩として、両側から物にはさまれているものの形容にも用いられる。サンド。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉五「サンドヰッチに舌皷をうち」
※若い人(1933‐37)〈石坂洋次郎〉上「長椅子の中央に左右からサンドイッチのやうに挟まれて居た級長の玉井は」

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デジタル大辞泉 「サンドイッチ」の意味・読み・例文・類語

サンドイッチ(Sandwich)

米国マサチューセッツ州南東部の半島、コッド岬の町。半島内で最も歴史が古く、1639年、ピルグリムファーザーズの入植地の一として誕生。

サンドイッチ(sandwich)

《「サンドウィッチ」とも》
薄く切ったパンの間に肉・卵・ハム・野菜などを挟んだ食べ物。英国のサンドイッチ伯爵の思いつきという。
物と物との間に挟まれた状態。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンドイッチ」の意味・わかりやすい解説

サンドイッチ
さんどいっち
sandwich

薄切りのパンの間に肉、チーズ、野菜などを挟んだ組立て食。この名称はイギリスのサンドイッチ伯にちなんだといわれる。伯爵家の4代目に生まれたジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯(1718―92)は30歳で海軍大将になったが、生まれつきの性格が賭博(とばく)好きで、トランプに熱中すると食事する時間を惜しんで食べながら続ける。そこで召使いに命じてパンの間にローストビーフやその他の料理を挟んで食べるのを常とし、相手にもこれを勧めていたので有名になり、この食べ物がサンドイッチとよばれるようになった。このようなパンの食べ方は、すでに古代ローマにもみられ、古くロシアでも前菜の一種としてオープン・サンドが使われていた。ドイツでは、小形のパンに肉やソーセージを挟んだものをベレークテス・ブレーチヒェンbelegtes Brötchenといい、ベレーゲンbelegenという語には「雌に雄をかける」という意味もあって、性的に表現したことばで表されている。オムレツや卵などを挟むのはフランスからの流行で、アメリカではあぶったチーズを用いることが多いなど、中身(フィリング)は各国好みでさまざまであったが、19世紀の終わりごろからは中身の種類も多様になってきた。

 このように、サンドイッチは個人の簡易食としてイギリスに起源したので、イギリス流のサンドイッチは半食分half mealであるが、アングロ・アメリカ流では集会食用としてカントリークラブなどで1食分whole mealに変わり、クラブ・サンドイッチとよんでナイフとフォークで食べる。

[阿久津正蔵]

種類

サンドイッチを形態で分類すると次のようになる。

(1)クローズド・サンドイッチ 2枚のパンに中身を挟んだ普通のサンドイッチ。

(2)オープン・サンドイッチ パンの上に中身をのせて、彩りと味の調和を考えて組み立てられる。デンマークのスモーレブロードは北欧を代表する有名なもので、5種のパンを使って200種ものオープン・サンドをつくる。

(3)デッカー・サンドイッチ パン3枚に中身を2層に挟んだダブルデッカーと、パン4枚に中身を3層に挟んだスリーデッカーなどがある。

(4)トースト・サンドイッチ 食パンを厚めに切ってトーストし、卵の目玉焼き、焼きベーコンなどの温かい中身を挟む。普通のサンドイッチが冷食であるのに対して温食のおいしさをねらっている。

(5)ホット・サンドイッチ ハンバーガーホットドッグが代表的なものである。

(6)パーティー・サンドイッチ ロールものとローフものが代表的。ロール・サンドイッチは、パンで中身をのり巻きのように巻き、色や形を美しくつくる。ローフ・サンドイッチは、大形のローフのまま華やかにつくり、客前で切り分ける。また、セルフサービス・サンドイッチは、薄切りのパンと中身を別々に並べ、各自が好みによって組み立てながら食べる。

[阿久津正蔵]

材料と作り方

サンドイッチをつくるパンは角食パン、バゲットバターロール、ハンバーガーロール、黒パンなどが多い。サンドイッチの種類によって厚さを決める。角食パンでは5ミリメートルくらいの厚さが標準で、パーティー用にはその半分くらい、トースト・サンドイッチ用には倍の厚さに切る。サンドイッチ用のパンには、砂糖、油脂などの配合率の多いリッチ(副材料が入ったもの)なものが用いられるため、焼き上がりが柔らかく薄切りにしにくいので、普通は1日置いてすこし固くなったものがよいとされるが、パンが固くなると老化して、デンプンが消化しにくくなり、香味も落ちてくる。できるだけ古くしないでつくるほうがよい。

 バターはクリーム状に滑らかに練り、中身に応じて練りがらしを少量混ぜ合わせ、パンに平均にたっぷり塗る。これは、バターの風味を加えるだけでなく、中身の水分をパンに浸み込ませないためでもあり、また挟んだ中身が動かないように張り付けるためでもある。

 中身はハム、ソーセージ、ロースト肉、コンビーフレバーペーストなどの加工肉類、イワシの酢油漬け、サケやマスの薫製、魚の水煮缶詰類、各種のチーズ、ゆで卵、キュウリ、トマト、タマネギ、レタスなどの生野菜類、リンゴ、バナナ、イチゴなどの果物類を組み合わせる。盛付けにはパセリ、ピクルス、紅しょうがなどで、見た目にも美しく、食感のバランスも整える。食事としては、魚、肉類と野菜類を栄養成分的に組み立てるのがよい。

[阿久津正蔵]


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改訂新版 世界大百科事典 「サンドイッチ」の意味・わかりやすい解説

サンドイッチ
sandwich

薄く切ったパンの間に肉,野菜などをはさんだ料理。こうした食べ方は古くから行われ,フランスでは昔から農夫が黒パンに肉をはさんで仕事にもって出たり,地方によっては,旅に出る人に肉をはさんだパンをもたせる風習もあった。サンドイッチの名は,カードに熱中したイギリスのサンドイッチ伯爵John Montagu,4th Earl of Sandwich(1718-92)が食卓につく暇を惜しみ,トーストしたパンにコールドビーフをはさんで食べたことから起こったという。

 サンドイッチには食パンのほか,ライムギパン,フランスパン,種々の形のロールパンなども用いられる。食パンは焼きたてよりも半日くらいたったものが,切るにもバターなどを塗るにも扱いやすい。そのまま,あるいはトーストにし,ふつうはバターを塗る。中にはさむ具をパンに密着させ,かつ,その水分がパンにしみこむのを防ぐためで,クリーム状に練ると塗りやすい。肉,魚,野菜をはさむ場合は,1/4量の溶きガラシを混ぜたカラシバターを使うことが多い。レモン汁,チーズ,コショウ,ニンニクなどを加えて変化をつけることもある。具をはさみ終えたら,何組か重ねて固く絞ったぬれぶきんで包み,軽い押しをしてしばらく置き,なじんだころを見はからって適宜の大きさに切り分ける。

 サンドイッチは,パン2枚に具をはさんだクローズドサンドイッチが基本になる。この方式で,パン3枚で2層の具をはさめばダブルデッカーサンドイッチ,4枚で3層ならばスリーデッカーサンドイッチという。チーズとハムをはさんだクローズドサンドイッチの両面をバターで焼いたものが,フランスのクロックムッシューである。3~4枚のパンをトーストにし,ローストチキン(またはシチメンチョウ),ベーコン,トマト,レタスなどをはさんだ温かいサンドイッチは,クラブサンドイッチと呼ばれている。以上に対して,1枚のパンの上に種々の材料をのせたものをオープンサンドイッチと呼ぶ。デンマークのスミュアブローズsmørrebrød(バターを塗ったパンの意)と呼ばれるオープンサンドイッチは,のせる材料が多彩なことで有名である。

 そのほか変わった形のものとしては,薄切りのパンに材料を巻き込んだロールサンドイッチ,黒パンと白パンを市松模様に組み合わせたチェッカーボードサンドイッチ,大型のバゲットや食パンをそのまま使い,上部を薄く切って蓋(ふた)にし,中身をくずさぬようにそっくり取り出してサンドイッチにつくり,外側をケースにしてもとどおりに詰めるローフサンドイッチ,さらにはホットドッグやハンバーガーのようなものもある。
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百科事典マイペディア 「サンドイッチ」の意味・わかりやすい解説

サンドイッチ

薄切りパンの間に肉,野菜,卵などをはさんだもの。軽い食事,弁当などにする。英国のJ.M.サンドイッチ伯〔1718-1792〕がトランプ遊びの間の食事として考案したといわれる。種類は多いが,正式茶会のものはごく薄く切った食パンにローストビーフなどをはさみ小型に作る。また1枚のパンに中身を巻いたロールサンドイッチ,パンを焼いて温かくし,ローストチキンなどをはさんだトーストサンドイッチ,1枚のパンに中身をのせたカナッペ風のオープンサンドイッチ,3枚以上のパンに異なる中身を幾層にもはさんだダグウッドサンドイッチなどがある。中身としてはふつう汁気の少ない保存性のあるものが使われ,魚肉の油漬・燻製(くんせい),コンビーフ,ハム,チーズ,生野菜などが用いられる。パンはふつう半斤を6枚に切りバターを塗るが,ペースト,スプレッド,からしなどを使うことも多い。

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とっさの日本語便利帳 「サンドイッチ」の解説

サンドイッチ

サンドイッチ伯(Earl of Sandwich)▼一八世紀の英国の政治家、第四代サンドイッチ伯ジョン・モンタギュー(一七一八~九二)は、食事の時間も惜しんで賭け事に没頭することがしばしばあった。二四時間も続いたあるゲームの時、食事で勝負を中断しないよう、薄切りのパンにローストビーフを挟んだものを用意させ、それを食べながらゲームを続けたという。そのため、このような軽食はたちまち彼の名で一般に知られるようになったが、食べ物そのものは以前からあり、彼が考案したわけではない。彼は二度にわたって海軍大臣を務めたが無能で、贈収賄などで度々攻撃されたが、海軍大臣在任中にキャプテン・クックが太平洋で群島を発見し、サンドイッチ諸島と命名した。これは後のハワイ諸島。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「サンドイッチ」の解説

サンドイッチ【sandwich】

薄切りにしたパンの間に野菜・肉・卵などを挟んだ料理。2枚のパンのあいだに具材を挟むものが一般的であるが、パンを3枚用いるものや、パンの上に具材をのせるオープンサンドイッチなどもある。◇18世紀中頃、イギリスのサンドイッチ伯爵(4代)が、トランプの賭け事に熱中するあまり食事の時間を惜しみ、手でつまんで食べられるように作らせたものとされる。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

栄養・生化学辞典 「サンドイッチ」の解説

サンドイッチ

 薄く切ったパンにチーズ,ハム,卵,野菜などをはさんだ料理.

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