日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シェリング(Henryk Szeryng)
しぇりんぐ
Henryk Szeryng
(1918―1988)
ポーランド出身のメキシコのバイオリン奏者。ベルリンでカール・フレッシュ、ついでパリでチボーに学び、ドイツ・ハンガリー派とフランコ・ベルギー派の奏法を身につけた。46年メキシコ大学の音楽学部創設に尽力、教授に就任。同年メキシコの市民権を得ている。54年名ピアニスト、ルービンシュタインにみいだされ、彼と共演。これがきっかけになって国際的に広く活動するようになり、戦後のもっとも優れたバイオリン奏者の一人に数えられるに至った。64年(昭和39)初来日。レパートリーはきわめて広く、洗練された美音を駆使、優美で柔軟な演奏を聞かせる。
[岩井宏之]