シキチョウ(読み)しきちょう

改訂新版 世界大百科事典 「シキチョウ」の意味・わかりやすい解説

シキチョウ (四季鳥)
magpie robin
dyal
Copsychus saularis

スズメ目ヒタキ科の鳥。全長約22cm。雄はカササギに似た黒白のよく目だつ羽色をしている。雌は雄の黒色部分が暗灰色になっている。中国南部,ヒマラヤ以南の南アジアを経て,大スンダ列島,フィリピンなどに分布している。市街地,庭園,畑,低木林,マングローブ林などにすみ,地表付近を移動しながら昆虫などをとって食べる。複雑な節回しの美しい声でさえずり,美声の鳥としてよく知られており,中国や東南アジアでは籠鳥としてよく飼われている。単独またはつがいでいることが多く,大きな群れになることはない。絶えず尾を上下させている。わん形の巣を地表付近につくり,1腹3~4個の卵を産む。近縁種のアカハラシキチョウC.malabaricusやコシアカシキチョウC.pyrropygusなども南アジアを中心に分布している。なお別属ではあるが,エンビシキチョウ属Enicurusの鳥にもシキチョウという名がつけられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シキチョウ」の意味・わかりやすい解説

シキチョウ
しきちょう / 四季鳥

広義には鳥綱スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科シキチョウ属に含まれる鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。シキチョウ属Copsychusには8(または9)種があり、全長は20~27センチメートル、尾が長く全長の半分を占める。インドなど南アジアの森林やぶに生息し、美しい大きな声でさえずるので、飼い鳥とされることがある。

 種のシキチョウC. saularisは、全長約20センチメートル、背面と胸は黒く、腹は白い。翼に大きな白色斑(はん)があり、カラス科のカササギに似ているので、英名をmagpie robin(magpieはカササギ、robinはツグミ)という。インドから東は中国南部にかけて、またフィリピンにも分布する。人家近くの明るい林にすみ、地上で昆虫をとることが多いが、人間の与えるパンくずなどもよく食べるので、親しまれている。巣は木の洞につくり、2~3個の卵を産む。

[竹下信雄]

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