シデシャジン(読み)しでしゃじん

改訂新版 世界大百科事典 「シデシャジン」の意味・わかりやすい解説

シデシャジン (四手沙参)
Asyneuma japonicum (Miq.) Briq.

キキョウ科多年草で,日当りのよい草地に生え,青紫色の花が咲く。シャジンの名はあるが,ツリガネニンジン属とは異なり,花冠は基部近くまで5裂して裂片は反り返る。その形が四手にたとえられた。本州,九州のほか,朝鮮や中国東北部など極東地域に広く分布している。茎は高さ50~100cm,葉は卵形で互生し,長さ5~12cm,幅2.5~4cm,下葉には長い柄があるが,上の葉ほど小さく柄は短い。花は総状につき,径2.5cmほど,放射相称おしべは5本,葯は花柱をとりまき,花柱は長さ1~1.2cmで花冠から長く突き出る。花盤は発達せず,果実側壁で割れる。花期は7~10月。昔は観賞のため栽培されていたが,現在はほとんど栽培されていない。シデシャジン属Asyneumaは約35種があり,とくにヨーロッパから中央アジアにかけての乾燥地帯に多い。日本には1種だけ自生している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シデシャジン」の意味・わかりやすい解説

シデシャジン
しでしゃじん / 四手沙参
[学] Asyneuma japonicum (Miq.) Briq.
Phyteuma japonicum Miq.

キキョウ科(APG分類:キキョウ科)の多年草。茎は高さ0.5~1メートル。葉は互生し、長卵形から長楕円(ちょうだえん)形で先はとがる。8~9月、茎上部の葉腋(ようえき)に紫色花を開く。花冠は基部まで5裂し、裂片は線形で反り返り、花柱は長く突き出て、柱頭は3裂する。丘陵帯から山地帯の野原や林縁に生え、本州、九州、および朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。名のシデは、花冠裂片の形を、神前に供える四手(しで)に見立てたもの。シデシャジン属は、花冠は基部まで細く5裂し、葯(やく)は離生する。世界に約35種、日本に1種分布する。

[高橋秀男 2021年10月20日]

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