シマアジ(英語表記)Anas querquedula; garganey

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シマアジ」の意味・わかりやすい解説

シマアジ
Anas querquedula; garganey

カモ目カモ科。全長 37~41cm。雌雄異色。雄は頭上が黒褐色,顔から頸が栗色で,白色眉斑が後頸まで伸びている。背は黒褐色で,胸は黒褐色の地に黄白色の複雑な縞模様が入る。腹と脇は灰白色だが,脇には黒い波縞の細かい模様がある。肩羽は長く伸びて脇にたれ,各羽は両側が灰青色で中央が白く縞模様をつくる。上下の尾筒は白地に黒斑が密にある。雌は過眼線が褐色でその上下が白いほかは,全身の羽色が褐色の地に黒褐色のまだら模様である。繁殖地はヨーロッパからユーラシア大陸中央部を横切りシベリア東部,カムチャツカ半島東アジア北部までと広く,おもに淡水域に生息する。越冬地はサハラ砂漠を除くアフリカ中・北部と,インドから東南アジアニューギニア島である。日本では北海道で少数が繁殖し,琉球諸島で少数が越冬するが,おもに春秋渡りの途中に立ち寄るのが観察される。(→ガンカモ類

シマアジ
Pseudocaranx dentex

スズキ目アジ科の海水魚。アジ類中最も美味とされる。全長 1.2mになり,体は強く側扁する。体の背面は青緑色,腹面銀白色側線直走部の後部 4分の3に 26~30の稜鱗があり,尻鰭前方には 2本のとげがある。南日本世界暖海に分布する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「シマアジ」の意味・わかりやすい解説

シマアジ (縞鰺)
Caranx delicatissimus

側線上にぜんごのあるスズキ目アジ科の海産魚。青い背部,銀白色の腹部,そして体側に鮮やかな金色の1縦帯。これからシマアジの名があり,英名もstriped jack。細長い小判形だが体高がやや高く,ヒラアジ(熊本,福岡)ともいう。ただし,これはカイワリとの混称。若魚は黄色い横縞が体側に見られる。小さいものをコセ(和歌山),コセアジ(高知)という。全長1mに達するが,特大魚は東京でオオカミと呼ばれあまり喜ばれない。市場価値の高いのは30~40cm,300~400gのもの。岩手県でも漁獲記録があるが,暖海性でおもに本州中部以南に分布し,伊豆七島,とくに八丈島周辺で多獲される。砂地や岩礁の周辺にすむ。うきぶくろで音を出し,ギュウギュウ(静岡)の名もある。産卵期は6~7月とされているが,大分水族館で2月に産卵が記録されている。アジ類中もっとも美味とされる高級魚で,夏がしゅん。刺身,すし種,塩焼き,照焼き。昔は地引網でとれたが今はほとんどが釣り。養殖ものも増えてきた。遊漁の対象としても重要。ミナミシマアジと称するニュージーランド産で75cmほどになる近縁種が空輸されている。
執筆者:

シマアジ (縞味)
garganey
Anas querquedula

カモ目カモ科の鳥。ユーラシア大陸の中緯度地方で繁殖し,ヨーロッパ南部,アフリカ北部,アジア南部へ渡って越冬する。アジアのものはシベリア南部で繁殖し,おもに中国で越冬する。日本ではおもに春秋に通過する旅鳥で,秋は9月,春は4月に見られるが,他のカモ類に比べて数が少ない。しかし,北日本ではまれに繁殖するものがいる。主として湖,沼,池,湿地などの淡水域にすむ。全長約38cm,コガモとほぼ同大で,雄は顔から首側面にかけて栗色で,小さな白斑が密に散在し,白い顕著な眉斑がある。胸は黄色と黒色の横縞で,腹は白い。雌は全体に褐色でマガモの雌に似ているが,体がずっと小さく,クリーム色の眉斑がはっきりしている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「シマアジ」の意味・わかりやすい解説

シマアジ

アジ科の魚。地方名コセ,コセアジなど。体高が大きく,著しく側扁。背面は青灰色,腹面は淡く,体側中央に幅広い黄色の縦帯が走る。岩手県以南に分布し,沿岸に多い。高級魚として刺身,すし種などに用いられ,夏季,特に美味。近年ハマチと同様に幼魚を捕らえて養殖も行われている。全長1mに達するが,大型のものは東京などではオオカミと称し,喜ばれない。またニュージーランド産の近縁種がミナミシマアジと称して空輸されている。
→関連項目アジ(鰺)カイワリ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典 「シマアジ」の解説

シマアジ

 [Pseudocaranx dentex].スズキ目アジ科の海産魚.全長1mになるが通常30〜50cm.食用にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android