シャピロ(Karl Jay Shapiro)(読み)しゃぴろ(英語表記)Karl Jay Shapiro

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シャピロ(Karl Jay Shapiro)
しゃぴろ
Karl Jay Shapiro
(1913―2000)

アメリカの詩人ボルティモア生まれ。1930年代から詩作を始め、『人、土地、もの』(1942)ですでに高い評価を得ていたが、第二次世界大戦中太平洋戦線で書いた詩を集めた『Vレター、その他』(1944)によってピュリッツァー賞を獲得、一気に名声を得た。「戦死した兵士のためのエレジー」はとくによく知られる。初期の詩編はとくに知的で、詩の書法にたくみであり、W・H・オーデンの影響を受け、またフュージティブ詩人の後継者であるようにみられたが、彼自身は知性派とみなされることを嫌い、ウォルト・ホイットマン、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ、またハート・クレーンらを評価した。『詩論』(1945)が詩形式による現代詩論。ビート派が台頭すると、同調して一時期ビート的な詩も試みるほどだったが、のちにさすがにそれにも反発することになった。

 詩作のほかに評論にも活発な活動をみせた。その後の作品に、詩集『成人用書店(アダルト・ブックストア)』(1976)、エッセイ集『詩文崩壊』(1975)などがある。1956年からネブラスカ大学、イリノイ大学カリフォルニア大学教鞭(きょうべん)をとり、また1950年から1956年にかけて詩誌『ポエトリ』の編集に携わった。1957年(昭和32)国際ペン大会参加のため来日した。

沢崎順之助

『福田陸太郎訳『詩と詩論』(1957・国文社)』『呉茂一編、福田陸太郎ほか訳『世界名詩集大成第11 アメリカ編』(1965・平凡社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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