シャムシ・アダド(1世)(読み)しゃむしあだど(英語表記)Šamši-Adad Ⅰ

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シャムシ・アダド(1世)
しゃむしあだど
Šamši-Adad Ⅰ

生没年不詳。古代アッシリアの大王(在位前1750ころ~前1717)。それまで北メソポタミアに限定されていたアッシリア王国を古代オリエントの一大帝国に築き上げ、首都をアッシュールに定め、自ら「全地の王」と名のって勇名を馳(は)せた。資料としては、神々のために神殿を建立した際の奉献碑文のほか、ユーフラテス川中流域のマリ王国征服後、そこを統治させた彼の王子にあてた書簡が多数発見されている。それらによれば、彼は勇猛果敢な王であったばかりでなく、王子を自分の後継者として訓育すべく細かな配慮さえする教育者でもあった。しかし彼の死後バビロニアのハムラビ大王(在位前1729/28~前1686)やマリ王国を奪還したジムリリムなどによって古アッシリア(中期アッシリアや新アッシリアと区別する)帝国は衰微を余儀なくされた。

[月本昭男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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