シャルル(ブルゴーニュ公)(読み)しゃるる(英語表記)Charles

翻訳|Charles

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シャルル(ブルゴーニュ公)
しゃるる
Charles
(1433―1477)

バロア家系ブルゴーニュ公家第4代当主(1467~77)。母はポルトガル王女イサベル。父フィリップ公の晩年、フランス王家との関係はしだいに悪化したが、とりわけ1461年ルイ11世の登位が転回点となり、公家アラス和議で得たソンム川沿い諸都市の上級領主権を王家に収奪された。当時シャロレー伯であったシャルルは、ここに公家家政の実権者として頭角を現し、反王家路線を明白に打ち出すことになる。64年には、ルイ11世に反逆した諸侯の先頭にたち、パリ近郊で王軍と戦い、軍事的指導者としての名声を高めた(公益同盟戦争)。67年父公を継いでのち、72年の内戦に挫折(ざせつ)してからは、フランスの内政に対する関心を捨て、フランスとドイツとの間に独立国を建てる方向に決定的に歩み出す。アルザスロレーヌフリースラントと支配地を広げたところで、ドイツ神聖ローマ皇帝に対し「王号」を要求した。ルイ11世は、公家の独立を阻止しようと権謀術数の限りを尽くしてシャルル包囲陣をつくる。シャルルの頼んだイングランド王家もルイに買収され、スイスもルイの側について、孤立したシャルルは77年、ロレーヌ公のスイス人傭兵(ようへい)隊とナンシーに戦って敗死した。1457年、ブルボン家のイサベルの腹に生まれたひとり娘マリアは、ここに公家家督を相続し、フランドル、ネーデルラント諸邦の支持の下に、ハプスブルク家マクシミリアンと結婚し、公家をハプスブルク家に接木(つぎき)して、からくも公家北方領国を保全した。

[堀越孝一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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