日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャルル(10世)」の意味・わかりやすい解説
シャルル(10世)
しゃるる
Charles X
(1757―1836)
ブルボン朝第7代のフランス王(在位1824~30)。ルイ15世の王太子の第4子。ルイ16世、ルイ18世の弟にあたる。1789年、革命の勃発(ぼっぱつ)とともに亡命し、ヨーロッパ各地を転々とし、92年ユー島(フランス西部バンデー地方)からフランスに進入しようとして失敗。ナポレオン時代はイギリスに滞在した。第一次王政復古(1814)のとき、王国総代理官として連合国と軍事協約を結んだ。第二次王政復古では政務から遠ざかったが、極右王党派(ユルトラ)の勢力拡大に力を注いだ。1824年ルイ18世の死により王位を継承した。統治初期は、新聞検閲の廃止など自由主義的政策を打ち出したが、ビレール内閣の反動的諸立法(涜聖(とくせい)法、亡命貴族10億フラン法、国民衛兵の解散など)はシャルル10世の人気を落とし、自由主義ブルジョアの台頭を招いた。このため、彼は「七月勅令」を発布してブルジョアを政治から排除しようとしたが、かえってパリ市民の反抗を助長し、七月革命の勃発を招いて退位、イギリスへ亡命した。北イタリアのゴリツィアで死去。
[志垣嘉夫]