ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャル・フォン・ベル」の意味・わかりやすい解説
シャル・フォン・ベル
Schall von Bell, Adam
[没]1666.8.15. 中国，北京
ドイツ人のイエズス会宣教師，天文学者。アダム・シャルともいわれる。中国名は湯若望。ガリレオ・ガリレイの天文学を学び，天啓2（1622）年中国に入る。同 7年北京に赴き天文観測で名声を得，陝西で布教に従事。崇禎3（1630）年召されて上京し，徐光啓の援助を得て中国暦の改修にあたり，『崇禎暦書』を翻訳作成した。同 9年には勅命で北京に炉を開き，多数の火砲を鋳造した。明が滅び清に入ってからも，順治2（1645）年に西洋暦による「時憲暦」を完成し，同 3年欽天監監正（天文台長官）に任命された。これにより順治帝の愛顧を得て布教事業を進めたが，守旧派の天文学者の讒言で失脚し，康煕4（1665）年死刑を宣告され翌年没した。死後 3年を経たのち，その名誉は回復された。
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