シュトラウス(Botho Strauß)(読み)しゅとらうす(英語表記)Botho Strauß

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シュトラウス(Botho Strauß)
しゅとらうす
Botho Strauß
(1944― )

ドイツ劇作家、小説家。ニュルンベルクに生まれる。ベルリンの「シャウビューネ」で1970年前半に文芸部員を務めた。体制と化した市民の認識を打ち破るために、観客にショックを与えることを意図する。いわば物語の線を随所で断ち切って、点と点の非連続的な断片にするところに彼の作風特色がある。劇作品として『気で病む者たち』(1972)、『再会の三部作』(1978)、『大と小』(1980)、『訪問者』(1988)などがある。小説の代表作は『マルレーネの姉妹』(1975)、『騒ぎ』(1980)、『始まりの喪失』(1992)ほか。1980年代には対話形式の小品を数々書いて、ドイツ中流階級のメランコリーにみちた精神状況をミスティック(神秘的)に描き続けた。1989年ビュヒナー賞を受賞。

[宮下啓三]

『青木隆嘉訳『始まりの喪失 点と線に関する省察』(1996・法政大学出版局)』『ボート・シュトラウス著、日中鎮朗訳『住むまどろむ 嘘をつく』(1998・法政大学出版局)』『谷口廣治監訳『照らし出された戦後ドイツ――ゲオルグ・ビューヒナー賞記念講演集(1951―1999)』(2000・人文書院)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android