シュマルカルデン同盟(読み)シュマルカルデンどうめい

改訂新版 世界大百科事典 「シュマルカルデン同盟」の意味・わかりやすい解説

シュマルカルデン同盟 (シュマルカルデンどうめい)

中部ドイツのシュマルカルデンSchmalkaldenにおいて,新教ルター)派の諸侯帝国都市が,皇帝・旧教派に対抗するために結成した同盟。1530年のアウクスブルク国会において,ルター派は〈アウクスブルク信仰告白〉を公式に否認され,ウォルムス国会後に出された勅令の施行を再び強制されたために,31年末日にザクセン選帝侯,ヘッセン方伯を首長防衛同盟を結んだ。後に西南ドイツ諸都市が正式に加入して,同盟文書上では32年2月27日が同盟発足日となっている。この動きに対し皇帝は譲歩して32年に〈ニュルンベルクの平和〉を締結したが,宗教的平和は実現しなかった。35年同盟関係が更新され,ヨーロッパ内の一大政治勢力になると,皇帝・旧教側はニュルンベルク同盟を締結して対抗の構えを示した。45年トリエント公会議開催にあたり,新教派が公会議への参加を拒否したことを口実に,皇帝は新教派討伐のためにシュマルカルデン戦争を起こした。47年同盟は敗北し,瓦解させられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シュマルカルデン同盟」の意味・わかりやすい解説

シュマルカルデン同盟
シュマルカルデンどうめい
Schmalkaldischer Bund

宗教改革時代のドイツにおけるプロテスタント諸侯,帝国都市の防御同盟。 1530年のアウクスブルク帝国会議ののち,プロテスタント諸侯が皇帝側の勢力からプロテスタントと没収教会領とを守るために翌 31年2月結成した同盟で,その中心となったのはフィリップ・フォン・ヘッセンとザクセン選帝侯ヨハン・フリードリヒである。諸侯のほか,マクデブルク,ブレーメン両市と若干の南ドイツ都市も参加した。皇帝が宗教上の理由から攻撃を加えてきた場合,帝国等族には武力で対抗する権利があるという M.ルターの主張を理論的基盤とする。神聖ローマ皇帝カルル5世は,イタリアをめぐるフランスとの戦争やオスマン帝国の脅威のため,長らくプロテスタントに対し宥和策をとったが,フランスとの間に和約を結んで攻勢に転じ,47年ミュールベルクの戦いでプロテスタント諸侯を敗北させてからは,同盟は事実上瓦解した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュマルカルデン同盟」の意味・わかりやすい解説

シュマルカルデン同盟
しゅまるかるでんどうめい

宗教改革時代にドイツの新教派諸侯、帝国都市が結んだ同盟。神聖ローマ皇帝カール5世が1529年のシュパイエル国会で新教の容認を拒否し、30年のアウクスブルク国会で新教派の「アウクスブルク信仰告白」をも否認すると、31年新教派諸侯、帝国都市は、ザクセン選帝侯、ヘッセン地方伯を指導者として中部ドイツのシュマルカルデンSchmalkaldenに同盟し、信仰のために圧迫を受けた場合の相互援助を約した。同盟はフランス、イギリス、デンマークにも援助を受けるために働きかけ、国内でも加盟する諸侯、都市が増大したが、内部に対立があり、46年カール5世により起こされた同盟制圧のためのシュマルカルデン戦争(~1547)で皇帝派に敗北し、瓦解(がかい)した。

[中村賢二郎]

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百科事典マイペディア 「シュマルカルデン同盟」の意味・わかりやすい解説

シュマルカルデン同盟【シュマルカルデンどうめい】

1531年神聖ローマ皇帝カール5世に対抗するドイツの新教(ルター)派諸侯と帝国都市が中部ドイツのシュマルカルデンSchmalkaldenで結んだ同盟。トリエント公会議を契機に始まった1546年―1547年の皇帝との戦い(シュマルカルデン戦争)に敗れて1547年崩壊。
→関連項目モーリツ

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「シュマルカルデン同盟」の解説

シュマルカルデン同盟(シュマルカルデンどうめい)
Schmalkaldischer Bund

1530年12月,中部ドイツのシュマルカルデンで,プロテスタントの帝国諸侯,帝国都市が,カール5世の福音主義弾圧政策に対抗してみずからの共通利害を守るために結成した同盟。トリエント宗教会議の開催を契機に,この同盟と皇帝側との間にシュマルカルデン戦争(46~47年)が勃発したが,同盟はその内的な分裂によって戦いに敗れ,瓦解した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「シュマルカルデン同盟」の解説

シュマルカルデン同盟
シュマルカルデンどうめい
Schmalkaldischer Bund

1530年12月31日,ドイツのプロテスタント諸侯・帝国都市が皇帝カール5世のプロテスタント禁圧に抗して結んだ同盟
1529年の第2回シュパイエル帝国議会および30年のアウグスブルク帝国議会におけるルター派信仰の禁圧の決議が発端となって結成された。1546〜47年のシュマルカルデン戦争で,皇帝側に敗れ,瓦解した。なお新旧両派の対立はアウグスブルクの宗教和議で,いちおうの妥協をみた。

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