シュミット(Daniel Schmid)(読み)しゅみっと(英語表記)Daniel Schmid

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シュミット(Daniel Schmid)
しゅみっと
Daniel Schmid
(1941―2006)

スイスの映画監督。フリムス・ワルトハウスに生まれ、中・高等教育をスイスで受ける。ドイツに出て、ベルリン自由大学でマルクーゼなどの講義を聴いたのち、アメリカ各地を旅行。大学に戻り、文学宗教史を学ぶ一方、映画・テレビアカデミーで演出を学ぶ。監督デビュー作は、ドイツのテレビ用につくった『キス・ミー・アゲイン』(1968)で、以後スイスやドイツで活躍した。作品には『ラ・パロマ』(1974)、『天使の影』(1976)、『ヘカテ』(1982)、『トスカ接吻(せっぷん)』(1984)などがあり、その多くにはオペラ演劇の要素が取り入れられ、デカダンな傾向が強い。日本文化にも大きな関心を寄せ、坂東(ばんどう)玉三郎を記録した『書かれた顔』(1995)や舞踊家大野一雄についての記録映画『ダニエルシュミットの大野一雄』(1995)などを発表した。A・タネール、C・ゴレッタらとともにスイス映画の代表的監督であった。

小松 弘]

資料 監督作品一覧

主人の蝋燭(ろうそく)を節約するためにすべてを暗闇のなかで行うこと Thut alles im Finstern, eurem Herrn das Licht zu ersparen(1970)
今宵かぎりは… Heute nacht oder nie(1972)
ラ・パロマ La Paloma(1974)
天使の影 Schatten der Engel(1976)
カンヌ映画通り Notre Dame de la Croisette(1981)
ヘカテ Hécate(1982)
人生の幻影 Mirage de la vie(1984)
トスカの接吻 Il bacio di Tosca(1984)
デ・ジャ・ヴュ Jenatsch(1987)
季節のはざまで Hors saison(1992)
ダニエル・シュミットの大野一雄 Kazuo Ohno(1995)
書かれた顔 Das geschriebene Gesicht(1995)
ベレジーナ Beresina oder Die letzten Tage der Schweiz(1999)

『蓮実重彦編著『リュミエール叢書9 光をめぐって――映画インタビュー集』(1991・筑摩書房)』『由良君美著『セルロイド・ロマンティシズム』(1995・文遊社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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