シュミット(Julius August Fritz Schmidt)(読み)しゅみっと(英語表記)Julius August Fritz Schmidt

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

シュミット(Julius August Fritz Schmidt)
しゅみっと
Julius August Fritz Schmidt
(1882―1950)

ドイツの経営経済学者。ワーレンブリュックに生まれ、オーバーウルゼルで没した。1909年ライプツィヒ商科大学を卒業、1909~1910年ドルトムント商科大学講師、1913年フランクフルト大学講師、ついで同大学教授となり経営経済学講座を担当した。1924年には、現在ドイツの経営学雑誌として著名な『経営学雑誌』Zeitschrift für Betriebswirtschaftを創刊し、主宰した。主著『有機的貸借対照表学説』Die organische Tageswertbilanz(第3版・1929)は、会計学における有機論ないし時価論に理論的根拠を与えた名著として高く評価されている。彼の有機論の特色は、第一次世界大戦後のドイツ・インフレーションを背景として、企業を総合経済における一細胞として把握し、したがって、企業会計も総合経済との有機的関係のもとに、財産の評価に再調達価格を用いることによって、正しい財産計算と正しい成果計算とを可能ならしめる点にある。すなわち、企業の経営維持とは、総合経済におけるその相対的価値維持を意味するものとしている。

[宇南山英夫]

『山下勝治訳『有機的貸借対照表学説』(1934・同文舘出版)』『市原一著『ドイツ経営学』(1954・森山書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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