日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シュワルツ(Melvin Schwartz)
しゅわるつ
Melvin Schwartz
(1932―2006)
アメリカの物理学者。ニューヨークに生まれる。1949年にコロンビア大学に入学、卒業後も同大学にとどまり、1958年助教授、1960年準教授、1963年教授に昇格した。1966年にはスタンフォード大学教授に転じたが、1979年にはシリコンバレーにおいてコンピュータ・セキュリティ事業を扱うディジタル・パスウェーズ社の社長となった。さらに1991年にブルックヘブン国立研究所の高エネルギー・核物理学研究部門の副部長となった。
シュワルツは、コロンビア大学助教授であった1959年にπ(パイ)中間子の崩壊を利用してニュートリノ線(ニュートリノ・ビーム)をつくりだすアイデアを思いつき、1960年からブルックヘブン国立研究所において大学の同僚であるレーダーマン、シュタインバーガーと共同で研究を開始、そのための装置を製作した。そしてこの装置を稼動させ、μ(ミュー)粒子(ミューオン)と対をなすミューオン・ニュートリノを発見し、レプトン(軽粒子)の双極子構造を実証した。この業績により、シュワルツはレーダーマン、シュタインバーガーとともに1988年のノーベル物理学賞を受賞した。
[編集部 2018年8月21日]