日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
シン(メソポタミアの神)
しん
Sin
古代メソポタミアの神話で、天体神中の最高神。セム系アッカド語で、「月、月神」を意味し、メソポタミアの先住民であるシュメール人が月をよぶのに用いたことば「ズゥ・エン」(スゥ・エン)が訛(なま)ったものといわれる。メソポタミアの宗教および神話では、月神は天界の神々のなかで最高位に置かれ、太陽神シャマシュ(男神)と金星の女神イシュタルはその息子と娘であった。月神シンは南メソポタミアのウルを中心として、人間の保護者として厚く崇拝された。のちには北メソポタミアのハッラーン(ハラン)にも神殿が建てられ、その信仰は異教時代のローマにも伝えられた。
[矢島文夫]
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