ジブロモエタン(読み)じぶろもえたん(英語表記)dibromoethane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジブロモエタン」の意味・わかりやすい解説

ジブロモエタン
じぶろもえたん
dibromoethane

エタン臭素二置換体の一つ。1,2-ジブロモエタン(臭化エチレン、二臭化エチレン)と、1,1-ジブロモエタン(臭化エチリデン)の2種の異性体がある。いずれも無色液体。前者は臭素にエチレンを通すと得られ、EDBと略記されることがある。後者はブロモエチレンに臭化水素を作用させることにより得られる。いずれも水には溶けず、エタノールエーテルに溶ける。1,2-ジブロモエタンを加水分解するとエチレングリコールに、アンモニアと作用させるとエチレンジアミンになる。1,1-ジブロモエタンは水と加熱するとアセトアルデヒドになる。1,2-ジブロモエタンは、植物の地下部に寄生する線虫防除剤として用いられていたが、発癌(はつがん)性などの問題から使用中止となった。

[谷利陸平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ジブロモエタン」の解説

ジブロモエタン
ジブロモエタン
dibromoethane

C2H4Br2(187.86).【】1,2-ジブロモエタン:BrCH2CH2Br.臭化エチレンともいう.エチレンに臭素を付加させるか,アセチレンに臭化水素を付加させると得られる.融点9.5 ℃,沸点132 ℃.2.21.加水分解するとエチレングリコールが,アンモニアを作用させるとエチレンジアミンが,シアン化カリウムと反応させてスクシノニトリルCNCH2CH2CNがそれぞれ得られる.線虫の防除に広く用いられている.[CAS 106-93-4]【】1,1-ジブロモエタン:Br2CHCH3,臭化エチリデンともいう.臭化ビニルに臭化水素を付加させると得られる.液体.沸点112.5 ℃(103.3 kPa).水と加熱するとアセトアルデヒドになる.[CAS 557-91-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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