ジャクソン(Andrew Jackson)(読み)じゃくそん(英語表記)Andrew Jackson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジャクソン(Andrew Jackson)
じゃくそん
Andrew Jackson
(1767―1845)

アメリカ合衆国第7代大統領(在任1829~37)。テネシー州の奴隷制農園主で、若くして政治と法曹土地投機に活躍した。一八一二年戦争中、武力で先住民(アメリカ・インディアン)の土地を南部白人に渡したのち、「ニュー・オーリンズの戦い」でイギリス軍を破り、国民的英雄となった。1818年スペイン領フロリダにまで侵入してセミノール人を討伐し、南部奴隷主階級の圧倒的な支持を背景に、28年選挙で大統領に当選した。在任中、南部のチェロキー人を強制移住させ、またサウス・カロライナ州の連邦関税法無効宣言を契機に33年妥協関税法を成立させ、保護関税から自由貿易への政策転換を指導した。さらに、合衆国銀行を廃止したが、そのため、直接恩恵を受けた一部の企業家だけでなく、当時の「反独占」運動の展開のなかで農民層や都市職人労働者の幅広い支持をも得た。全国の支持勢力はやがて民主党を形成することになるが、彼自身の政策展開は、南部奴隷主階級が建国期以来主張してきた「州権論」に基づくものであった。

[安武秀岳]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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