ジョージア

精選版 日本国語大辞典 「ジョージア」の意味・読み・例文・類語

ジョージア

(Georgia) アメリカ合衆国南東部、アパラチア山脈の南東端にあり、大西洋に面する州。州都アトランタ。建国一三州の一つで、南北戦争のときには南部連合に参加し、連邦から離脱した。かつては綿花の大生産地であったが現在はタバコ、ピーナッツ、木材を主産物とする。

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百科事典マイペディア 「ジョージア」の意味・わかりやすい解説

ジョージア

◎正式名称−ジョージアSakartvelo/Georgia。◎面積−6万9700km2。◎人口−450万人(2012)。◎首都−トビリシTbilisi(117万人,2012)。◎住民−ジョージア人70.1%,アルメニア人8.1%,ロシア人6.3%,アゼルバイジャン人5.7%など(2005)。◎宗教−ジョージア正教,アルメニア正教,ロシア正教,イスラム(スンナ派)。◎言語−ジョージア語(公用語),ロシア語,アルメニア語。◎通貨−ラリLari。◎元首−大統領,ギオルギ・マルグヴェラシヴィリGiorgi MARGVELASHVILI(1969年生れ,2013年11月就任,任期5年)。◎首相−ギオルギ・クヴィリカシヴィリGiorgi KVIRIKASHVILI(2015年12月就任)。◎憲法−1995年8月制定。◎国会−一院制(定員150,任期4年)。2012年10月選挙結果,ジョージアの夢83,統一国民運動67ほか。◎GDP−128億ドル(2008)。◎1人当りGDP−1721ドル(2006)。◎農林・漁業就業者比率−22%(1997)。◎平均寿命−男70.5歳,女77.8歳(2013)。◎乳児死亡率−20‰(2010)。◎識字率−99.7%(2009)。    *    *カフカス山脈南部の共和国。日本ではグルジアと称していたが,大統領からの要請を受け,2015年に英語名の現表記に改めている。国土の約54%は標高1000m以上の山地で,北にカフカス山脈,南に小カフカス山脈が走り,西は黒海に面している。気候は温暖多雨。高山には氷河がある。住民の7割がジョージア人で,アルメニア人,ロシア人,アゼルバイジャン人のほか,オセット人3%,アブハジア人1.8%(1989)など。多民族構成と関連してソ連時代から北西部にアブハジア自治共和国,南西部にアジャリア自治共和国,中北部に南オセチア自治州が置かれている。茶,レモン,ブドウ,タバコなどを産し,羊,牛,豚の畜産もある。マンガン,スズの鉱物資源に富み,トビリシを中心に機械・化学・冶金工業が行われる。 古代から東西および南北交通の要地で,黒海沿岸のコルヒダ(コルキス)には古代ギリシアの植民市が建設された。ジョージア人は4世紀にキリスト教を受容し,5世紀にジョージアの教会は独立教会(ジョージア正教会)となった。7世紀以後しばしばイスラム教徒に侵略された。1801年東部がロシアに併合され,露土戦争後の1878年全土がロシア領となった。ロシア革命後の1921年ソビエト権力が樹立され,1922年ザカフカス連邦に加盟してソビエト連邦結成に参加,1936年ジョージアとして独自のソビエト連邦構成共和国となった。1990年主権宣言を採択し,1991年4月独立を宣言した。この間,ペレストロイカ期の1989年ころからアブハジアの分離独立運動,南オセチアの自治共和国昇格要求から分離独立へ展開する運動が高揚して武力衝突にいたった。ジョージア政権のガムサフルディアからシェワルナゼへの移行(1992年),ロシア中央の介入という複雑な過程をへて,後者は1992年6月,前者は1994年4月に一応の停戦合意をみた。2003年11月の議会選挙における不正を糾弾する野党の攻勢に対処できず,シェワルナゼ大統領は非常事態を宣言し,同月末に辞任。2004年1月の大統領選挙で国民運動の指導者サアカシビリが選出された。サアカシビリ大統領は汚職根絶などの改革を積極的に推進,2008年の大統領選で再選を決め,同年の議会選挙でも与党統一国民運動が圧勝し,政権基盤を盤石なものとした。ロシアとの関係は,南オセチア問題やジョージアのNATO加盟をめぐって緊張が続き,2008年8月,ジョージア軍と南オセチア軍の衝突にロシアが介入し,ジョージア・ロシアの武力紛争に発展した。EU等による調停で停戦したが,ロシアは南オセチア及びアブハジアの両地域にはジョージア政府の実効支配が及んでいないとして独立を一方的に承認し,ジョージアはロシアと国交を断絶した。しかし,2012年10月の議会選挙では野党連合〈ジョージアの夢〉が過半数を制し,イヴァニシヴァリ政権が発足,イヴァニシヴァリはロシアとの関係改善を図って二国間対話を進めた。2013年10月に行われた大統領選挙では与党連合〈ジョージアの夢〉のマルグヴェラシヴィ候補が当選,大統領に就任し,ガリバシビリ首相を首班とする新内閣が発足した。2015年12月マルグヴェラシヴィ大統領は前首相の辞任を受け,新たな首相にクヴィリカシヴィリを指名した。→ジョージア語
→関連項目カフカスシュワルナゼバトゥーミ南オセチア

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジョージア」の意味・わかりやすい解説

ジョージア
Georgia

正式名称 ジョージア Sakartvelo(グルジア語)。
面積 6万9700km2アブハズ自治共和国南オセチヤ自治州を除く面積は 5万7160km2)。
人口 373万(2021推計。アブハズ自治共和国と南オセチヤ自治州を除く)。
首都 トビリシ

ザカフカジエ(後カフカス地方),黒海東岸に位置する国。旧称グルジア。2015年日本政府はジョージア政府からの要請に応じて,呼称をジョージアに変更した。北はロシア,東はアゼルバイジャン,南はアルメニア,トルコと接する。国土内にアジャール自治共和国,アブハズ自治共和国と南オセチヤ自治州を含む。地形は北の大カフカス山脈,南の小カフカス山脈,その間のコルヒダ低地に大別され,国土の 87%が山地である。リオニ川クラ川が主要河川。山脈が北風をさえぎるため,冬季も温暖で,沿岸部は湿潤な亜熱帯性気候に属する。住民の 3分の2がグルジア人,約 8%がアルメニア人,ほかにロシア人,アゼルバイジャン人がいる。また少数民族としてオセチヤ人,アブハズ人がそれぞれの自治州,自治共和国を中心にして住んでいる。公用語はグルジア語。東西交通の要地として紀元前より文化が発達し,統一王国も出現したが,しばしば他民族の占領,支配を受けた。19世紀初めにロシアに併合され,1921年グルジア=ソビエト社会主義共和国が成立,1936年ソビエト連邦の構成共和国となった。1990年グルジア共和国に改称し,1991年独立,1992年7月国際連合加盟。1993年10月独立国家共同体 CISに参加。独立以来,内部対立などから政情不安が続いている。ジョージア中央政府の統治に不満を抱くオセチヤ人アブハズ族の民族問題も深刻である。石炭,マンガン鉱,銅,亜鉛などの地下資源があり,各地に鉱泉をもつ。これらをもとに鉄鋼業,合金製造業が発展。ほかに機械(農業機械,食品工業用設備,自動車,電気機関車),化学(肥料,合成繊維,染料),木材加工,農産物加工(絹織物,茶,たばこ,ワイン,ブランデー,皮革)などの工業があり,特に農産物加工業の工業生産に占める割合は高い。農業では亜熱帯性作物(チャ〈茶〉,タバコ,ブドウ),ヒマワリ,テンサイなどの栽培が盛んで,牧羊,養蚕も発達。観光・保養産業も重要で,スフミバトゥーミのほかボルジョミ,ガグラ,ツハルトゥボ,ノーブイアフォンなどが保養地として知られている。国内交通は東西方向の鉄道,道路が中心で,カフカス越えの道路,黒海沿岸の鉄道,さらに空路により国外とも連絡。

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改訂新版 世界大百科事典 「ジョージア」の意味・わかりやすい解説

ジョージア[州]
Georgia

アメリカ合衆国南部の州。略称Ga.。面積15万2488km2,人口819万(2000)。州都および最大都市アトランタ。独立13州の一つ。州名はイギリス王ジョージ2世にちなむ。北からアパラチア山脈南西端部,ピードモント台地が横たわり,その南に広がるコースタル・プレーン(海岸平野)は州面積の60%を占める。夏は暑いが,冬にはかなり気温が下がり,ときどき降雪をみる地域も多い。州中央部を走る滝線に沿って,オーガスタメーコンコロンバスなどの滝線都市が並ぶ。しかし同州の経済,交通,文化の中心は,北西部に位置するアトランタで,ここは南部最大の都市でもある。同州自体も,〈南部の帝国州Empire State of the South〉の別称をもつように,南部の中心的地位を占めてきた。とくに州中央部は,19世紀から20世紀初頭のピーク時まで,南部の綿花王国の中心をなした。綿花生産と綿織物工業は衰退したが,その伝統は他の織物産業に引き継がれている。第39代大統領のJ.E.カーターがプレーンズのピーナッツ農場主であったことは有名であるが,同州は全米第1位(1980)のラッカセイの生産地である。林地が州面積の69%を占め,松や硬木の伐採も各地で行われている。また北部地域は建築用の大理石や花コウ岩,陶磁器用のカオリンの大産地としても知られる。工業化も進められてはいるが,1人当りの所得はいまだに合衆国平均の85%(1980)である。他の南部諸州と同様に黒人人口は多く,南北戦争開始時には44%,1980年には27%を占めた。古い南部のなごりとしてプランテーションの大邸宅が各地にみられ,北部山間地にはカントリー・ミュージックのブルーグラスに影響を与えた音楽が残っている。
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知恵蔵mini 「ジョージア」の解説

ジョージア

ロシアとトルコに挟まれた黒海の東岸に位置する国。グルジア語での正式名称は「サカルトベロ」。首都・トビリシ。人口430万人(2013年)、面積6万9700平方キロメートル(日本の約5分の1)。6世紀以降のペルシアやアラブ、ロシア帝国などによる侵略・併合の歴史を経て、1922年、旧ソ連結成に参加。91年、崩壊しかけていたソ連からの独立を宣言、内戦などの混乱を経て現在に至る。2008年にはグルジア軍と南オセチア軍の軍事衝突にロシアが介入し、対ロシア感情が悪化。同国の英語表記をロシア語に基づく「グルジア」から「ジョージア」に変えるよう各国に要望し、国連加盟国の多くがジョージアに変更した。日本でも15年4月14日に参議院本会議で呼称をジョージアに変更することが決まった。

(2015-4-16)

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デジタル大辞泉プラス 「ジョージア」の解説

ジョージア〔戦艦〕

《Georgia》アメリカ海軍の戦艦。バージニア級の前弩級戦艦。船体識別番号はBB-15。1904年進水、1906年就役。グレート・ホワイト・フリートの世界一周航海(1907~1909年)に参加。1920年退役。その後スクラップとして売却。

ジョージア〔飲料ブランド〕

日本コカ・コーラ株式会社が販売するコーヒー飲料のブランド。1975年発売。シリーズはほかに「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド」「ジョージア ヨーロピアン」などがある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ジョージア」の解説

ジョージア
Georgia

アメリカ合衆国南東部の州,独立時の13州の1つ
1733年,13植民地のうち,最後に建設された植民地。州名はイギリス国王ジョージ2世(在位1727〜60)にちなむ。州都はアトランタ。

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