ジョーンズ(Richard Jones)(読み)じょーんず(英語表記)Richard Jones

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ジョーンズ(Richard Jones)
じょーんず
Richard Jones
(1790―1855)

イギリス経済学者。ケンブリッジのケーヤス・カレッジ神学を学び、牧師となったが、産業革命後の不安定な社会状況のなかで、労働者・農民階級の現状と将来に関心をもつようになり、1831年に主著『富の分配租税源泉An Essay on the Distribution of Wealth and on the Sources of Taxationを刊行した。33年にはキングズ・カレッジの経済学教授となり、35年以降はT・R・マルサスの後任として東インド・カレッジの経済学および歴史学教授となり、以降20年間この職にあった。またその間「十分の一税金納法」の成立とその実施のためにも活躍した。経済学者としては、資本制経済の歴史性を初めて明らかにしたことで知られ、歴史学派の先駆者とする評価もある。彼は、労働者が生活資料を獲得する形態の違いから、諸国民の経済構造を二つに大別し、土地所有に基づく前資本制経済と、資本家が分配を媒介する資本制経済に区分し、おのおのの分配法則を解明したが、とりわけ前資本制経済における小農地代の諸形態を詳しく分析している。また、地主階級の利害と社会の他の階級の利害は一致するとして、D・リカードの地代論を批判し、地主階級を擁護したことでも知られる。

[千賀重義]

『大野精三郎著『ジョーンズの経済学』(1953・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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