スケルトン(スポーツ)(読み)すけるとん(英語表記)skeleton

翻訳|skeleton

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スケルトン(スポーツ)」の意味・わかりやすい解説

スケルトン(スポーツ)
すけるとん
skeleton

選手が頭を進行方向に向けてうつぶせの状態でそりに乗り、氷上コースを滑走し、その速さを競う競技。スケルトンskeletonとは、「骸骨(がいこつ)」あるいは「骨組み」を意味することばであり、そりの形状が滑走部と車体のみの単純な構造でつくられていたことから、その名前がついたといわれている。

 スケルトン競技は、1884年にスイスサン・モリッツクレスタ谷間に世界最初のスケルトン専用コースが建設されたのを契機に発展・普及していった。その結果、サン・モリッツで開催された第2回(1928)と第5回(1948)の冬季オリンピック大会で、正式種目として採用された。その後は、冬季オリンピックの参加国数や技術面等の問題から、オリンピックの正式種目からスケルトンが除外された。スケルトンが冬季オリンピックの正式種目として復活することになったのは、2002年の第19回ソルト・レーク・シティ大会でのことである。

 スケルトン競技は、ボブスレーリュージュと同じコースで滑走するそり競技である。そりにあおむけで乗り足先から滑走するリュージュとは異なり、頭を進行方向に向け、うつぶせになってそりに乗る。滑走中は、重心移動やつまさきでそりを操作する。競技成績は、(1)スタートでそりに加速スタートダッシュ)をつけるスプリント力、(2)最適なコースのライン取りをするための操作技術、(3)そり性能と空気抵抗の少ない滑走フォームの維持能力によって決定する。また、そりには重量制限があり、男子は43キログラム以下、女子は35キログラム以下となっており、そりおよび競技用具を含めた選手の総重量は男子115キログラム、女子92キログラムを超えてはならないと規定されている。ただし、選手の体重によりこの規定を超える場合は、そりの重量は男子33キログラム以下、女子29キログラム以下にすることとされている。そりの長さは80~120センチメートル、高さは8~20センチメートル等、各部の材質や形状についての細かい規定がある。選手はコースによって、また天候に応じてそりを調整してレースに挑むなど、人とそりが一体になることが競技力にとってたいへん重要となっている。

鈴木省三


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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