スソウミヘビ（読み）すそうみへび

日本大百科全書(ニッポニカ)

スソウミヘビ
すそうみへび / 裾海蛇
manetail snake eel
[学] Ophichthus urolophus

硬骨魚綱ウナギ目ウミヘビ科に属する海水魚。東北地方以南の太平洋沿岸、新潟県以南の日本海沿岸、東シナ海、朝鮮半島南岸、台湾南部、インドネシア、オーストラリア南東と北西岸などの海域に広く分布する。体はほとんど円筒形で細長く、後方に向かって細くなり、尾端でとがる。頭部は小さい。肛門(こうもん)は体の中央部より前に位置する。吻(ふん)は比較的短く、先端は丸い。目は小さく、長円形。前鼻孔(ぜんびこう)は管状で、吻端近くの側面に開口する。後鼻孔は目の前縁下の上唇の側方にあり、上部の縁辺に皮弁（皮質突起）がある。口は普通大で、上下両顎(りょうがく)の前端は同位置にあり、口の後端は目の後縁より後方まで伸びる。鰓孔(さいこう)は胸びれの基部の前に垂直に開く。前上顎骨に数本の歯があり、主上顎骨には鋭い円錐歯(えんすいし)が1～2列に並ぶ。下顎歯は1列で、縫合部に歯群が一つある。鋤骨(じょこつ)（頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨）に小円錐歯が前方では2列に、後方では1列に並び、最後方のものは目の後縁下に達する。鱗(うろこ)はない。背びれは胸びれの後縁直上から、臀(しり)びれは肛門直後から始まる。尾端は露出し、尾びれはない。胸びれは長い。体は淡褐色で、腹部は淡色。全長は65センチメートルほどになる。水深約10～420メートルの沿岸の砂泥底域にすみ、底引網で混獲される。食用価値はほとんどない。イナカウミヘビO. asakusaeにきわめて類似するが、本種は尾端部の周囲の表皮にしわがないこと、胸びれが長くて頭長の26％以上あることなどで後種と区別できる。

［尼岡邦夫　2019年6月18日］

[参照項目] | ウミヘビ

スソウミヘビ

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内のスソウミヘビの言及

【ウミヘビ(海蛇)】より

…体は灰褐色で，斑紋はないが，多数の小隆起線が縦または斜めに走っている。スソウミヘビOphichthus urolophusは南日本に分布し，熊野灘の水深150m前後の海底から多量に漁獲される。吻は短い。…

※「スソウミヘビ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」